キャリアチェンジのリアル―病院から施設、成人から小児―
2025/09/16
こんにちは、plus-STの渡邉です。
言語聴覚士って、働く場所によって業務内容が大きく異なりますよね。
他の事業所で働く友人などから話を聴いて、別の領域に「おもしろそうだな…」と興味を惹かれることもあると思います。
けれど、これまで積み上げてきたキャリアを振り返ると、別の領域へ足を踏み出すことは容易ではありません。
そこで今回は、キャリアチェンジを検討するなかで多くの言語聴覚士が考えるであろう「病院から施設」「成人から小児」という2つのルートについて、経験談もまじえてそのリアルをお伝えします。
目次
病院→施設
✅メリット
・長期的な関わりができ、信頼関係を築ける
・利用者さんの生活場面に直結した支援が多い
・利用者さんの入れ替わりが病院ほど多くはない
✅デメリット
・医学的な評価スキル(VE/VFなど)が鈍る可能性あり
・いわゆる「現状維持」が目標になりやすく、変化や成果を実感しにくい
・言語聴覚士の配置人数が少なく、孤独感を抱きやすい
上記のようなメリット・デメリットが挙げられますが、経験者のみなさんはどういった壁にぶつかったでしょうか?
また、今後こういった動きを考えておられる方は、どんなことを不安に思われますか?
わたし自身、病院勤務6年目で「退院した先の支援がしたい」と思うようになり、(施設ではありませんが)7年目からは訪問看護ステーションで働きました。
その際、1番不安だったのは「介護保険領域のことがほとんどわからない」という自分の知識不足です。
そのため、病院に在籍しながら介護支援専門員の資格を取得し、知識だけは先に身に付けておきました。
領域を越えるということは、ときにこういった努力が必要になるかもしれません。
成人→小児
✅メリット
・子どもの成長を長期的に見守ることができる
・保護者と協働して支援できる
・教育や福祉など幅広い視点が磨かれる
✅デメリット
・成果が出るまでに時間がかかることもある
・保護者対応が大きな比重を占めるため、臨床以外の力も必要
・発達支援や制度について、最新の知見を学びなおす必要がある
わたしは成人から小児に移った経験もあるのですが、このメリット・デメリットをひしひしと実感しました。
小児での稼働は急な話だったので、発達障害について自身での学び直しはもちろんのこと、入職してから複数の研修を受けさせてもらっています。
また、学校との連携に関してはまったくの無知だったこともあり、管理者に同行して学内や授業風景を見学させていただいたり、カンファレンスに同席させていただいたりしました。
あと特筆すべきは、やはり保護者対応でしょうか。
成人領域だと「お任せします」とおっしゃるご家族さんが多いかと思いますが、小児となると親御さんと「ともに」お子さんをフォローしていく姿勢が大切です。
その分、情報を共有する機会も多いですし、そうあるべきだと思います。
この保護者対応に心理的な負担を感じて小児領域を去る言語聴覚士も見てきました。
領域を越えるときの視点
各々メリット・デメリットが出てくるのは必然です。
そのため、自分が進むべき道を見失いそうになることもあると思います。
そんなとき、あなたの道を切り拓くために以下の視点で考えてみると、道が見えやすくなるかもしれません。
①「何を得たいのか」を明確に
自分が言語聴覚士として関わる「対象を変えたい」のか、勤務条件などの「働き方を変えたい」のかなどを考えると、大まかな方向性が定まるでしょう。
②これまでの経験をどう活かすか
病院で培った臨床力は、施設の評価やケアに活かせます。
また、多職種連携スキルはどの領域でも必須です。
③学び直す覚悟があるのか
新しい分野では、「経験0の新人」です。
これまでのキャリアを捨てる必要はまったくありませんが、真摯に教えを請う姿勢や学びを深めることに対する覚悟は必要だと思います。
おまけ:1年でいいからがんばってみて!
慣れない環境はマイナスポイントばかりが目立つものです。
もちろんそれが、耐え難い人間関係の問題などで改善も見込めないのであれば話は別ですが…
言語聴覚士は全国的にまだまだ需要があるので、いつでも行き先は見つけられると思って、1年程度は踏ん張ってみてほしいと思います。
そうすることで、きっと新たなキャリアが積み重なっていきますよ。
さいごに
領域を越えることにはメリットもデメリットもありますが、これまでの経験が無駄になるわけではありません。
むしろ、異なる分野での経験があなたの臨床を厚みのあるものにしてくれるはずです。
「今の自分がどんな言語聴覚士でありたいか」を問いながら、1歩踏み出してみてくださいね。
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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