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東京2025デフリンピック

2025/07/29

こんにちは、plus-STの渡邉です。

みなさん、デフリンピックをご存知ですか?

聞こえない・聞こえにくい人たちのオリンピックで、今年初めて日本で開催されます。

パラリンピックよりも古いその歴史や、そもそもパラリンピックとの違いなど、言語聴覚士なら知っておいて損はないと思うので調べてみました。

デフリンピックとは

見た感じ、オリンピック関連のなにかということは分かると思います。

「デフ」とは英語の「deaf」から来ており、「耳の不自由な」「耳が遠い」「耳を傾けない」などの意味を表す単語です。

つまりデフリンピックは、その名の通り「耳が不自由な人たちのオリンピック」ということになります。

 

デフリンピック:概要 | 一般財団法人全日本ろうあ連盟スポーツ委員会

 

運営主体は1924年設立の国際ろう者スポーツ委員会(ICSD;International Committee of Sports for the Deaf)で、同年に第1回大会がフランスで開催されています。

オリンピック・パラリンピックと同じく夏季大会と冬季大会があり、それぞれ4年毎に開催されていて、今年の東京大会は100周年の記念すべき大会です。

 

東京2025デフリンピック | TOKYO 2025 DEAFLYMPICS

 

出場資格は、補聴器や人工内耳の体外パーツなどを外した状態=聴力を補わない状態での聴力損失が55dBを超えている聴覚障害者かつ、各国のろう者スポーツ協会に加入している者とされています。

なお、公平性を期するため、試合会場に入ったら補聴器等の装用は禁止です。

パラリンピックとの違い

障害者スポーツの祭典としては、パラリンピックが有名だと思います。

ですが、パラリンピックにろう者は出場していません

そこにはデフリンピックの歴史が深く関係しています。

 

国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committee)が1989年に発足した当時、すでに設立されていたICSDも加入していました。

しかし、デフリンピックの独創性を追及するために、1995年に脱退しています。

そのため、パラリンピックには聴覚障害者を対象とした競技種目がありません

 

パラリンピックはリハビリテーション重視の理念を元に始まったのに対し、デフリンピックはろう者仲間での記録重視の考えから始まっています。

したがって、デフリンピックは運営もろう者自身が行っており、大会内でのコミュニケーションは国際手話が使われていて、これこそがデフリンピックの独創性だそうです。

 

また、パラリンピックは障害の内容により、同じ種目でもオリンピックとはルールが異なりますが、デフリンピックはスタートの合図などを視覚的サインで提示する等工夫を凝らすのみで、基本的なルールはオリンピックと同じです。

そのため、オリンピックとデフリンピックの両方に出場し、両方でメダルを獲得した選手もいます。

 

このように大きな違いがあるパラリンピックとデフリンピックですが、現在は両方とも障害の存在を認めた上で、競技における「卓越性」を追求する考えに転換しているとのことです。

言語聴覚士との関わり

では、私たち言語聴覚士との関わりを見てみましょう。

 

すでに募集は締め切られていますが、出場選手の聴力検査の協力要請があったようです。

選手が出場資格(55dBを超える聴力損失あり)を満たしているかどうかを、1人ひとり純音聴力検査(気導・骨導)、ティンパノメトリー、耳小骨筋反射検査で調べるというものでした。

検査期間はこれからなので、もしかしたらこれを読んでいる言語聴覚士さんのなかにも、協力するよ!という方がいらっしゃるかもしれませんね。

なお、検査対象の選手は300〜400人程度とのことです。

さいごに

以上、デフリンピックについて調べてみました。

パラリンピックがオリンピックと同時開催であり、くわえて障害が多岐に渡るため、注目度や知名度はデフリンピックよりも高いと思います。

 

一方で、パラリンピックよりも長い歴史を持ち、ろう者としての矜持を感じさせるデフリンピックは、初の日本開催を迎えて今後盛り上がるかもしれませんね。

会期は11月15日〜26日の12日間です。

ぜひ一緒に応援しましょう。

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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