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信頼される言語聴覚士になるために技術より先に磨いたこと

2025/07/15

こんにちは、plus-STの渡邉です。

ことばのリハビリをする私たち言語聴覚士は、患者さん・利用者さんの『内なる想い』にもっとも近い存在ではないかと考えています。

だからこそ、知識や技術と同じくらい大切にしているのが、信頼関係を築くことです。

技術よりも先に見られているのは【人としての姿勢】

患者さん・利用者さんと初めて対面した瞬間から、私たちは評価を始めます。

カルテで得た情報と照らし合わせながら、その方の症状を探していきますよね。

 

その一方で、患者さん・利用者さんも私たちを評価しています

 「この人はなにをするんだろうか…」

 「やさしい?厳しい?」

 「この人とやっていけるかな…」

そこにリハビリ技術うんぬんはきっとまだなくて、『信頼できる人物かどうか』を見ているのではないでしょうか。

 

話す内容はもちろん重要ですが、そこよりも話す声のトーン・スピード・大きさ

こちらを見つめる視線の先・そのときの表情・目線の高さなど。

いわゆるノンバーバルな部分を敏感に感じ取り、『この人は自分に寄り添ってくれそうか』を判断しているのだと思います。

 

日々忙しい現場でリハビリを休みなく次々としていると、どうしても対応が後回しになったり時間がとれなかったりすることもありますよね。

それでも、患者さまにとっては人生初の言語聴覚療法かもしれません。

1度アウトの判定を下されたら、たとえ内容が助言であっても、信頼できない相手からの発言は受け入れることが難しいでしょう。

こちらに悪気はなくとも、とても小さなきっかけで信頼関係は崩れてしまうものだと心に留めておいてください。

言語聴覚士として気を付けていること

では、具体的にどうしたら患者さまとの信頼関係を築き、崩すことなく良好な関係を継続できるのか。

丁寧なノンバーバルコミュニケーションのほかに、私が意識してきたポイントをまとめます。

 

①相手の名前を呼ぶ

私たちは患者さん・利用者さんのことを「症例」、「ケース」等と業務上表現することがあります。

それはそれで必要な場面があるのですが、その感覚に慣れてしまってはいけません

患者さん・利用者さんは1人ひとり個性がある人間です。

疾患としての個性ではなく、その方が生まれてから今日までの人生で積み上げてきた人間としての個性を見ましょう。

そのために、わたしは必ず患者さん・利用者さんに名前で呼びかけます。

それも、取り違えを防ぐための〜といった業務的な雰囲気ではなく、「あなたに話しかけていますよ」「今はあなただけを見ていますよ」というメッセージを込めています。

 

②沈黙を共有する

私たちが相対する患者さん・利用者さんは、沈黙を恐れている方が比較的多いかもしれません。

特に、話すことに課題をお持ちの方は、「早くことばを出さなければ」「正しく発音しなければ」と焦るあまり、さらに音が出なくなる…という悪循環に陥ることも少なくありません。

ことばのリハビリを担う私たちだからこそ、その沈黙をあたたかな空気で共有することができるはずです。

「今、会話の相手はわたしだから、すぐにことばが出なくてもいいんですよ」「沈黙していてもあなたが努力していることはわかっていますよ」という事実を、ことばだけではなく雰囲気でも伝える必要があります。

時計を気にするなどの“早くして”アピールにとられかねない行動は慎み、表情をやわらかくして待ちましょう。

その土台の積み重ねが、強固な信頼関係に結びつくと思います。

 

③約束を守る

どんなに小さな約束でも、冗談ととれるものでも、自分に実現可能なものは必ず果たすようにしてきました。

病棟ですれ違ったときに呼び止められた、けれど今すぐリハ室に戻らなければならない…なんて状況なら、「今呼ばれてるから後で来ますね!」と伝え、用事が終わったら病室に顔を出します。

リハビリ中に「推しの歌の歌詞ならがんばって読み上げるのになあ」と笑い話が出たのなら、次のリハビリ時にはその歌詞を印刷して用意します。

そうして小さな「ほんとに来てくれた!」「ほんとに用意してくれた!」を繰り返すうちに、誠実さが伝わると思うのです。

 

④どうしても合わないときは…

私たちも人間です。

どうしても相性が合わない患者さん・利用者さんに出逢います。

そんなときは、必ず周りに相談しましょう。

自然な流れで担当を交代するなど、対処法はあるはずです。

ひとりで抱え込まずに、まずは吐き出してみてくださいね。

「この人となら…」を引き出す

リハビリは、魔法ではありません。

くわえて、私たちががんばっただけでは、なにも変わりません。

患者さん・利用者さんご本人が私たちのフォローのもと、ご自身でがんばることで少しずつ成果が出てくるものです。

だからこそ、先の見えない長期戦を伴走してくれるセラピストとの相性がとても重要ですよね。

 「この人とならもう少しがんばろう」

 「この人の言うことなら信じてみよう」

それだけで、リハビリの土台までも安定します。

 

スキルや肩書きも大切かもしれませんが、それ以上に患者さん・利用者さんが重視するのは、あなたの人柄かもしれません。

ともすると無意識に流れ作業のようになってしまう日々の業務のなかで、時折立ち止まり、患者さん・利用者さんに対して雑になっていないか・蔑ろにしていないか、わたしも振り返るようにしています。

この時間は、経験年数が何年になろうとも忘れずに持ち続けたい時間です。

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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