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“新人さんが育たない”と悩むあなたへ

2025/05/13

こんにちは、plus-STの渡邉です。

わたしは基本的にST1人職場で働いてきたのですが、PTOTの新人さんならば毎年育ててきました。

PTOTを育てるとき、ひいては新人さんを育てるときに先輩が抱える悩みって、どの現場でもだいたい共通している気がします。

5月も半ばにさしかかり、「そろそろ新人さんにもしっかりしてほしい…」そんな思いを抱いてはいませんか?

 

指導すればするほど不安が湧いてくる…

あれ?わたしがおかしいの?

 

そんな風に悩んでいるのは、きっとあなただけではありません

先輩が頭を抱えてしまう“あるある”

たとえば、先輩からしたらどう見ても構音に問題があるのに、そこを見落としてしまう新人さん…いますよね?

やたら雑談が長いから何を意図していたのか確認すると、ほんとうにただ雑談していただけで何も考えて(評価して)いなかった、なんてことも経験しました。

言語聴覚士として患者さまの前に立つ以上、評価の視点を持たずに関わるなんてことは先輩方ならありえません。

そういった“言語聴覚士としてのベース”ができていない場合、先輩も困ってしまいます。

 

また、なにごとも自分で考えず、すべてを先輩に委ねてくる新人さんもいます。

食形態を上げてもいいレベルなのに、「様子をみましょう」「とりあえず今週はこのままで!」なんて平然と言ってのけます。

自分の判断に自信がないのか、トラブルを恐れているのか…

先輩からの「そろそろいいんじゃない?」の一言を待っているケースもありますね。

「先輩のことをリスペクトしている」と言えば聞こえはいいですが、そのままではいつまで経ってもひとり立ちできません

患者さまの時間を無駄にしているようで、先輩からすると歯痒い瞬間です。

 

さらに、指導をすると心を閉ざしてしまう新人さんも…。

ことば選びや言い方には細心の注意を払ったつもりなのに、パワハラなんてことになったらどうしようとこちらも冷や汗ものです。

“安全な失敗”を積み重ねる

臨床実習をクリアしてきたからといって、臨床家としての視点が育つにはそれなりの経験が必要です。

そしてその経験のなかには、必ず失敗が含まれます。

むしろ失敗からしか学べないことは、多数あるのです。

先輩方は、患者さまの不利益にならない範囲で、新人さんが安全に失敗できる環境を整えてあげてはいかがでしょうか。

 

先ほどの例でみてみると…

何も考えずにただの雑談で時間を溶かしていたのなら、構音検査の結果と照らし合わせて雑談場面を振り返ってもらいます。

すると「あぁ、言われてみれば…」と気付くことが多いです。

『詳細な検査をとる前に、雑談しながらだいたいの症状を予め把握しておけば、検査の着眼点もわかる』ということを同時に伝えれば、今後無意味な雑談をすることはなくなるでしょう。

根気のいる作業ですが、こうして少しずつ、臨床家としての視点を育ててあげてほしいのです。

問いを投げれば自分で考える

ここでも具体例を挙げます。

新人さんが「あの患者さん、食事に時間がかかるんですよね…」と相談してきたとき、もしかしたらアドバイスや答えを求めているのかもしれません。

でもここですぐにアドバイスや答えを与えるのではなく、「それはなんで?」とひとこと返せば

 

新人:うーん、最初から最後までもごもごしてて…

先輩:なんでかなぁ?

新人:…入れ歯が浮くって言ってました!

先輩:じゃあどうする?

新人:入れ歯が合ってるか確認してきます!

 

…と、新人さん自身で仮説を立ててそれを立証していく過程を経験できます。

忙しい業務の合間を縫って指導していると、アドバイスや答えを与えた方が手っ取り早いです。

しかし、こうして自分で考える癖をつけてあげれば、最終的にひとり立ちする時期が早まると思います。

みんな最初は新人だった

みーんな最初は新人でした。

すべての人に、1年目がありました。

「わたしも最初はそうだったよ」「今でも迷いながらやってるよ」なんてあたたかいことばをかけてもらえたら、新人さんたちの心もほっとほぐれるのではないでしょうか。

指導するというよりも寄り添いながら支えるスタンスの方が、新人さんの成長も早いかもしれませんね。

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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