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評価はできるのに訓練が組めない言語聴覚士さんへ

2026/04/28

こんにちは、plus-STの渡邉です。

評価はそれなりにできるようになったけど、訓練を組み立てるのが苦手…という言語聴覚士さんはいらっしゃいますでしょうか。

特に臨床経験が浅いころは、ぶつかりやすい壁ではないかと思います。

 

そこで今回は、評価から訓練を組み立てるヒントを探ってみました。

なぜ“評価止まり”になってしまうのか

そもそも、なぜ訓練を組み立てるのが難しいと感じるのでしょうか。

そのヒントは、わたしたちが学んできた環境にあると思います。

 

養成校では、標準化された評価の方法をいくつも学び、練習を重ね、実習を通して実践します。

対して、訓練はどうですか?

決まりきった方法はないため、患者さん一人ひとりに対してオーダーメイドで創り上げる必要があります。

したがって、養成校で細かく学ぶ機会は少ないです。

 

その結果、評価と訓練が分断されてしまいがちだと思います。

評価の結果から考察し、それを訓練に結び付ける道筋が、繋がりにくいのです。

 

本来、評価とは単なる現状把握ツールではありません。

「どこに課題があるのか」「どこから介入すべきか」を考えていくための材料であり、訓練の立案とは一体のプロセスと言えます。

しかし、検査結果を揃えることをゴールにしてしまうと、結果が綺麗に揃っても次になにをすべきかわからない…という状況に陥るわけです。

 

この繋がりを回復するためには、評価結果を並べて点で見るのではなく、意味づけて繋ぐことが必要になります。

ただし、このときに決めつけたり先入観で思い込んだりして結果から見える事実を曲げることがないように、注意が必要です。

訓練立案を“3つのステップ”に分ける

評価から訓練へとまっすぐ繋げるためには、言語聴覚士側の思考の流れを明確にすることが大切です。

「なんとなく…」だと上手くいきません。

臨床では、以下の3ステップに分けて整理すると、道筋がはっきりすると思います。

 

ゴールの設定

まず行うべきは、「最終的にどこを目指すのか」を明確にすることです。

ここでのポイントは、機能レベルではなく“生活場面”を意識することでしょう。

 

例:

・単語想起が困難 → ×「呼称能力の改善」

          〇「日常会話で必要な語が出るようにする」

 

もっと細かく設定するなら、仕事復帰するのか、するのなら必要な語彙にはどんなものがあるのか(専門用語はあるのか)、会話の相手は同僚なのかお客様なのかなど、その時点でわかっている範囲で具体的にゴールを設定することが望ましいです。

ゴールが曖昧なままでは、訓練手段の選択も曖昧になります。

 

障害構造の整理

次に、評価結果から「なぜその問題が起きているのか」を整理しましょう。

 

例えば呼称困難1つをとっても、

・語彙へのアクセス障害
・音韻処理の問題
・注意機能の低下

など、背景は複数考えられますよね。

 

ここで重要なのは、「できないこと」ではなく、「どの段階でつまずいているか」を特定することです。

評価結果をこの視点で再整理することで、介入すべきポイントが見えてきます。

 

手段の選択

最後に、障害構造に対応した訓練手段を選択しましょう。

 

例えば、

・語彙アクセスの問題 → 意味ネットワークを活用した訓練

・音韻処理の問題 → 音韻キューや復唱課題

といったように、「原因」と「手段」を対応させます。

 

このとき、手段は1つに絞る必要はありません。

複数のアプローチを組み合わせながら、反応を見て調整していくことが現実的です。

明日から使えるチェックリスト

最後に、評価から訓練へとつなげる際の簡易チェックリストを共有します。

 

1.この患者さんの“生活上のゴール”は明確か
2.評価結果から、障害の原因を説明できるか
3.どの処理段階でつまずいているか言語化できるか
4.選択した訓練手段は、その原因に対応しているか
5.効果判定の指標を設定しているか

 

この5点を確認することで、「なんとなくの訓練」から脱却しやすくなります。

 

評価と訓練は本来、切り離されるものではありません。

評価は訓練のためにあり、訓練は評価によって支えられます。

両者をつなぐのは、結果ををどう解釈し、どう意味づけるかという臨床思考です。

したがって、「評価はできるのに訓練が組めない」という状態は、能力の不足ではなく、思考の整理によって乗り越えられる課題だといえます。

日々の臨床の中で、自身の思考プロセスを言語化し続けることで、評価と訓練に自信を持ち、真正面から患者さんと対峙できるはずですよ。

 

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

 

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