バイリンガルのお子さんを支援するときのポイント
2025/03/25
こんにちは、plus-STの渡邉です。
私が勤めていた児童発達支援・放課後等デイサービスには、海外にルーツのあるお子さんが複数在籍していました。
そこで、バイリンガルのお子さんと接するときに気をつけていたことをシェアします。
目次
本人のことを知る
まず第一に必要なことは、彼らがどの国にルーツを持ち、どのように育ってきたのか、また、現在どのような環境で過ごしているのかを知ることです。
例を挙げると…
・生まれは日本なのか、海外なのか
・海外生まれならばいつから日本で暮らしているのか
・保護者はどちらの言語を話しているのか/どちらの言語が第一言語なのか
・家庭ではどちらの言語でコミュニケーションをとっているのか
・園や学校ではどちらの言語が使われているのか
・保護者の意向、今後の見通し(海外生活の予定)
以上のような項目について確認しておくと、支援しやすくなります。
このなかでも特に、今後の見通しは重要ではないでしょうか。
就学のタイミングで帰国するというご家庭ならば、日本語を一生懸命マスターする必要性は低いです。
一方で、移住の予定はなく(将来本人の意思で移住・帰国するかは別として)日本で生きていくのであれば、日本語の習得も必須と言えます。
未来を見据えた支援のためには、必ず知っておいてほしいポイントです。
本人の言語習得度を知る
バイリンガルであることが発達に悪影響を及ぼすことはなく、むしろプラスに働くと言われています。
とはいえ、特に幼少期や学童期には、一方の言語のみ(たとえば日本語のみ)に絞ると同年代のお友だちに比べて語彙数が少ないといったことは起こるでしょう。
しかしながら、お友だちや私たちとは流暢な日本語で会話し、お迎えに来たお母さんにはポルトガル語で熱烈に愛をささやく姿を見ると、「すごいことを平然とやってのけるな~、かっこいいな~!」と感心したものです。
このように、家の外では日本語を使い、家庭では保護者が使う言語を使うお子さんは少なくありません。
なかには、私たちと保護者の間に入り通訳をしてくれるお子さんもいます。
私たち支援者は、本人が両方の言語をどの程度マスターしているのか、大まかにでも把握する必要があるでしょう。
ルーツを持つ国について学ぶ
バイリンガルである彼らの第一言語が日本語となるのか、それともルーツのある国の言語となるのかは、育ってきた環境によります。
日本で生まれた、もしくは乳児期から日本で育っており話し方は日本人そのもの、学校でも日本語を操っている!というお子さんでも家庭内の言語が日本語ではないのなら、私たち支援者もその言語を少しでも学ぶのが望ましいと思います。
また、言語だけではなく、その国の文化についても知ることを心がけていました。
そうすることで、彼らの根底に流れる“血”を知り、彼らの居場所となりたかったのです。
私が勤めていた事業所では先述した通り、日本語とポルトガル語を操るお子さんが多かったので、ポルトガル語の基礎を学びました。
また、年中行事の際にはブラジルとの違いに触れたり、ブラジル独自の行事について教えてもらったりしました。
そうした異文化に触れることは、他の利用児にとっても新鮮でよい刺激になります。
ぜひ積極的に学びたいものです。
保護者のサポートをする
保護者も日本で生活し働いているのだから日本語が堪能だろう…と思いきや、そうとも限りません。
特に、その国の出身者でコミュニティができているような場合には、日本語の読み書きがほとんどできない方がいらっしゃいます。
保護者が仕事のために成人してから来日しているようなケースでは、日本語のおたよりや契約書などを理解するのは至難の業です。
そのため、保護者に確認した上で、毎日のおたよりはひらがなで記載したり、お迎えの際には翻訳アプリを使って会話したりしていました。
また、契約などの重要な場面には通訳の方を呼んだこともあります。
異国の地で子どもを育て、働き、いくつもの複雑な手続きを経て暮らしている方々には、頭が上がりません。
さいごに
バイリンガルのお子さんを支援するときに気をつけていたことをまとめました。
誤解を恐れずに言うならば、日本人のお子さん以上に“寄り添う”ということを心がけていたように思います。
すべてのお子さんが生きやすく、輝かしい未来を選択できるよう、ご家族も含めてサポートしていきたいですね。
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
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