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小学校に常勤言語聴覚士

2024/12/17

小学校に常勤言語聴覚士 

こんにちは、plus-STの渡邉です。 

先日、こんなニュースを目にしました。 

再来年度から奈良市の小学校に言語聴覚士を常勤で配置へ|NHK 奈良県のニュース 

NHK 再来年度から奈良市の小学校に言語聴覚士を常勤で配置へ 

今年の3月に発表されているので、ご存知の方も多いかもしれません。 

以前、当サイトのコラムでも以下の記事を公開していますが… 

学校で楽しく学ぶためのリハ職支援-飛騨市の学校OT取り組みの記事から- | plus-ST | 言語聴覚士のコミュニティサイト 

plus-ST 学校で楽しく学ぶためのリハ職支援-飛騨市の学校OT取り組みの記事から- 

こちらとともに、この先の動向が気になるトピックです。 

ニュース概要 

 
上記ニュース記事から抜粋すると、奈良市は令和7年度から小学校に常勤の言語聴覚士を3名程度配置することを決めたとのことです。 

小学校に言語聴覚士が常勤で配置されるのは全国的にも珍しいとのことで、一定の効果が得られれば採用人数を増やし、奈良県内すべての市町村に配置したいとしています。 

 

背景 

 
背景には、通級指導の需要の高まりがあります。 

通級指導に言語聴覚士を 奈良市教委と県教委が協定 [奈良県]:朝日新聞デジタル 

朝日新聞デジタル 通級指導に言語聴覚士を 

上記記事によると、個人の特性に合わせて一部の授業を別教室で受ける『通級指導』を必要とする児童は、増加傾向にあるとのことです。 

今回の取り組みでは、特に自閉症や学習障害などことばによるコミュニケーションに課題がある小学校低学年の児童を対象として想定しています。 

 

学校にとって 

 
私が勤務している放課後等デイサービスには、特別支援学校の児童だけではなく普通学校の児童も通って来ます。 

しかし、入学してからそのまま卒業まで普通学校に在籍できるお子さんばかりではありません。 

途中で着いて行けなくなり、お子さん・ご家族はもちろんのこと、支援者も含めて時には1年以上悩んで転校を選択することもあります。 

その選択が結果的にお子さんの負担を軽減することは大いにありますが、環境の変化に対応しきれず、心身ともに乱れてしまうことがあるのもまた事実です。 

そのため、先を見通して就学先を決定する必要があり、普通学校でどれだけきめ細かなサポートが受けられるのかを事前に確認しておくことが重要と言えます。 

また、公立学校の教員は異動があるため、入学前に見込んでいたサポートが在学中に受けられなくなる可能性も高いです。 

そういった点を考慮した学校選択は、簡単なことではありません。 

一方、通級指導を担当する教員の方のお声を聴くと、先生方も多かれ少なかれ悩みながら手探りで支援しているというのが現状のようです。 

なかには、発達障害をお持ちのお子さんにお会いするのは初めて…という先生もいらっしゃいました。 

そんな現場に、言語の専門家として言語聴覚士が常勤で配置されれば、言語コミュニケーションに課題のあるお子さんも教員のみなさんも救われることが増えるのではないでしょうか。 

いわゆる“グレーゾーン”と呼ばれるお子さんや親御さんにとっても、日常のなかに気軽に相談できる専門家がいるというのは心強いことだと思います。 

 

言語聴覚士にとって 

 
言語聴覚士にとっては、職域の拡大という意味でとても明るいニュースと言えるでしょう。 

働く場所が増え認知度が高まることは、言語聴覚士全体の未来にとってプラスにはたらくと思います。 

児童発達支援や放課後等デイサービスで働く言語聴覚士が増え、医療福祉の現場だけではなく教育現場も身近になってきていると感じませんか? 

教育現場もまた深刻な人手不足のなかにあり、さらに専門性の高い指導ができる人材を求めていると言えるでしょう。 
 
 

まとめ 

 
奈良市が取り組む、言語聴覚士の小学校への常勤配置について取り上げました。 

言語聴覚士は理学療法士・作業療法士よりも新しい国家資格であり、職域の拡大を目指してきた歴史があります。 

教育現場にも言語聴覚士の裾野が広がることで、専門的支援が必要なお子さんやその親御さんは、生きやすくなるのではないかと思います。 

また、学校の先生方にとっても心強い存在となれるのではないでしょうか。 

今後奈良市がどういった効果測定を行い、言語聴覚士の常勤採用についてどの程度進めていくのか、それが全国に広まるほどの動きとなるのか、見ていきたいですね。

  

執筆者 渡邉睦美(言語聴覚士) 
 

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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