リハ栄養のすすめ:1月25日(土)は川崎で学会です!
2024/12/20こんにちは、plusーSTの和久井です。
リハビリテーション栄養のお話を、4月末に一度書きました。
私は現在外来で仕事をしていますが、リハビリテーション+栄養の視点が役に立ったことが何度かあります。どのようなフェーズの現場でも、摂食嚥下に関わる際に必ず役に立つ視点だと思います。
2024年度のリハ栄養学会は、神奈川県の川崎市(武蔵小杉)で2025年1月25日に行われます。
正直に言えば、時間がうまくとれず全然知識はアップデートできていないのですが、久しぶりに参加できそうなのでワクワクしています。
目次
リハビリテーション栄養の視点
言語聴覚士は、あらゆるシーンで栄養管理の問題に直面することが多いと思います。
言語聴覚士以外のリハビリ職は、食事に関して関わる時間が少ないことも関係していると思われます。
組織の中に栄養士さんがいれば相談もできるのですが、小さな組織だとそれができません。
私の勤務先はクリニックなので、例えばこの半年間で5キロ以上痩せてしまった患者さんが「食べ物が飲み込みにくい」と診察室で訴えると、多くの患者さんでSTのオーダーが出ます。(医師の判断により、もちろん出ないケースもあります。)
患者さんとお話しすると、色々な背景によって痩せが生じ、進行していることが分かりますが、忙しない診察室では普段の食事の様子や本人の口腔内の様子まで診ることができません。
リハビリ初回にお口の中を覗いてみると、奥歯が一本もなかった・・・なんてことが多々あります。
そのようなケースでは初回リハの40分は『いわゆるお口の運動・ホームトレーニングの指導』までたどり着きません。リハ栄養の視点に基づき、まずは「日常生活を送る(=動く)ことで痩せない」こと、「しっかり摂取カロリーを確保すること」、「太ること」を最優先に指導します。そのために、お食事の内容・誰が作っているのか・入れ歯の有無など詳細に聴き取ることや確認することが必要となるからです。
個人的な考えになりますが、基になる栄養が確保されていないことには筋力強化も狙うことができないので、初回は指導で終わってしまっても良いと思っています。十分な時間を割かずに中途半端に「伝えたつもり」になるよりも、数倍良いと思っています。
また、リハ栄養のトピックでよく取り上げられるのが、大きな組織のなかでチームをつくってどう取り組んでいくか・・が多いのですが、小さな組織であっても、言語聴覚士をはじめとするリハビリ職が運動や筋力強化と栄養摂取をセットで考え、栄養についてそれぞれが少しでも多く知り、患者さんが日常生活で取り組めそうな工夫を考えたり助言するだけでも、『リハ栄養』の視点を取り入れることになると思い、日々の臨床に臨んでいます。
指導に反映したケース例
※あくまで抽象化した例であり、特定できるような表現は避けています。
【ケース1】
誤嚥性肺炎後、退院できたが、嚥下食を指導されて退院してきたため初回リハビリ時まではレトルト食で経過。食欲がわかず一向に体重が増えない・・・
ただ、無歯顎であることと、痩せにより鼻咽腔閉鎖機能不全と嚥下反射惹起遅延を認めるため判断としてもまとまりのよい嚥下食。本人は、朝食は以前のように朝はトーストとコーヒー、おやつにスポンジケーキ・・を食べたいと話している。
⇒食事を作っているのが同居の娘さんであり、細かな調節が可能であった。食材や作り方によっては素材そのまま利用することが可能であるため、必ずドロドロの食事にしないといけないわけではないなど詳細に指導。唾液で離水するお粥よりも、やわらかく炊いたご飯の方が良いことも理由を添えて指導。
⇒ご本人にも、理解しやすいように書面にして現状を説明、体重がもう少し戻るまでまず1ヵ月頑張りましょうと励ます。
【ケース2】
PD、もともと胃がんにより部分切除しており、一回の食事量はそこまで増やすことができない。体重を増やしたいとは思っているが、どうしたらよいか分からない・・・
⇒現在の食事の状況を、BEE・TEEで参考数値として算出、ご本人に現状を理解していただき、「あとどのくらい必要か」を具体的に提示する。まずは栄養UpのためにMCTオイルなどの油脂で摂取カロリーを増やすことを提案。胃の切除後にしていたように、おやつとして何か摂取するなど少量頻回の経口摂取にしてみることも提案。
一見、言語聴覚士の知識のみでできる指導かもしれませんが、機能面だけではなく栄養に関して戦略的に考えるなど、リハ栄養の視点やアイデアが少しずつ入っています。リハビリテーション+栄養という視点で考え他職種とも共有することで、痩せの悪循環を作り出さないこと、最低限にすることができると考えます。
リハ栄養学会2024に参加してみよう!
色々なフェーズでの考え方を知り、多角的な視点で栄養について考えることができる、とても良い機会です。「リハ栄養」の入門には、学会参加がおすすめです◎
学会名称 第14回日本リハビリテーション栄養学会学術集会
公式HP URL:https://jarn2025.com/index.html
大会テーマ 常識を超えるリハビリテーション栄養
会期 2025年1月25日(土)
開催形式 現地
会場 川崎市コンベンションホール
〒211-0063 神奈川県川崎市中原区小杉町2丁目276番地1
パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン タワーズイースト2階
主催 第14回日本リハビリテーション栄養学会学術集会
大会長 鈴木 規雄(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
「お問い合わせ」フォームより、ぜひユーザーの皆様のお声を聞かせてください。
執筆者 和久井和佳子(言語聴覚士)
【略歴】
2010年 言語聴覚士 取得
・公益社団法人発達協会(療育指導)・東京さくら病院(回復期病院)
2014-2022年 順天堂東京江東高齢者医療センター
・施設訪問自費リハビリ(業務委託)・支援学級指導員(非常勤・東京都)
・訪問リハビリ(非常勤・東京都)・児童発達支援事業所(非常勤・東京都)
2022年10月〜 新浦安内科・脳神経内科クリニック(常勤・外来リハビリ・千葉県浦安市)
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