学校で楽しく学ぶためのリハ職支援-飛騨市の学校OT取り組みの記事から-
2024/10/8
こんにちは、plus-STの和久井です。
今回はずっと書きたかった小中学校のリハ職とのかかわりについてです!
私自身、一年間だけでしたが支援級の指導員として勤務した経験があります。
この飛騨市の取り組みと反響を参考に全国の自治体で試験的にでも導入されていくと良いなあと思います。
目次
『全ての小中学校に「学校作業療法室」』という、超インパクトのある見出しが飛び込んできた
最近のX(旧Twitter)は「おすすめ」欄でフォロワーさんがいいねを押したものや自分が発信したワードにもとづいたポストを(賛否はあれど)自動的にピックアップして流してくれるようになっていますね。その中で目にとまった記事を紹介します。
①全ての小中学校に「学校作業療法室」 人口2万人余り、飛騨市で始まった挑戦 2024年8月18日 中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/article/945252
②日本初、飛騨市「全小中学校に作業療法士」の理由 診断がなく相談先がない子たちにも支援が届く 2024年9月17日 東洋経済education×ICT
https://toyokeizai.net/articles/-/826988
①は地元中日新聞の概要記事、②は奥津さんへのインタビューや関わる各方面へのインタビューなど、さらに踏み込んだ記事となっています。各方面、とても興味深いです。
特に②は、『作戦マン』(CO-OPによるアプローチをわかりやすく伝えるためのキャラクターとのこと!)の姿も載っていて、子供たちに親しまれているのがよく分かります。
ー筆者は学校現場に何度も取材で足を運んできたが、集団教育という考えがベースにあり、
これほど「個」に寄り添う場面に出合ったことはなかった。
ー学校作業療法室はモデル校の試行を経て、2023年度に市立全8小中学校で始まった。
奥津さんが各校を巡回して月2回ずつ、専用の個室で子どもに対応する。
悩みを抱える保護者や教職員にもアドバイスする。(①より引用)
現在、奥津氏は臨床心理士と一緒に学校訪問を行っており、学校での活動内容は各校の特別支援教育コーディネーターが調整を行っている。現場の実情に合わせ、通級の時間を個別相談や指導に充てるなど、通級と連携した体制を取る学校もある。(②より引用)
これらを読み、なんて理想的な仕組みなんだろう、と拍手喝采でした。
リハ職が単独で動くのではなく、多職種で協働して関わることができているのもとても素晴らしいと思います。
「CO-OP(コアップ)」という手法は、恥ずかしながら私は初めて知るものでした。
記事から読み取る限りは、奥津さんの実践されているアプローチは、個々の得手不得手・特性をしっかり評価し、不得手の内容を分析し、その子にとってやりやすいであろう最適な代償方法を一緒に考え、本人に実践してもらうというリハビリの「個」に寄り添うアプローチそのものであると思うのですが、それが可能な作業療法士の配置を都竹淳也市長が先導して整え、OTが学校の内部に入って支援できていることが一番評価されるべきことなのかなと感じます。記事②で奥津さんも「学校の中に入らせていただけるからこそ、できること」と仰っています。
小学校に入るまでは「療育」としてつながっていた個別アプローチが、小学校に入ったとたんにアクセスしにくくなるので、月2回であっても、お子さんにとってとてもありがたい存在だと思います。
学校がリハビリ職(PT/OT/ST)と連携できる仕組みがもっとあってもよいのではないか?
私は、一年間だけですが支援級の言語の指導員を担ったことがありました。
週1日勤務、報酬は月6.5万円です。正直1日勤務ではそのエリアでは訪問リハの方が高いですが、業務の身体的負荷が軽かったことと、教育機関でSTとして勤務をするという貴重な経験も含むため、その程度が適当かなと納得していました。
その際はその小学校に専属で勤務する形でしたが、このモデルケースのように複数の学校を訪問してアドバイスして回る方式が最適なんだろうなと感じていました。OTに限らずSTのことばの教室も、訪問巡回方式にできないのだろうか?と思っていました。(訪問方式で取り組んでいる自治体もあると思います)
「〇〇小学校にことばの教室があるからそこに行くにはこの授業を早退するか休まないといけない」となると、そこに送迎する人員も必要となり、利用へのハードルは高くなります。
言語聴覚士として、「言語」の先生として授業を組み立てる際や実際に行う際に『作業療法士に相談したい、この子を見てほしいな』と思うことがたくさんありました。
言語もですが、身体の不器用さを改善することでほかの授業も楽しむことができるだろうな、というお子さんが多くいました。理学療法士や作業療法士と連携できるような仕組みがないことが残念でしたが、ないものは無いので自分なりに身体面の活動も考慮しながら内容を考えていました。
楽しく学ぶ、学ぶ楽しさを感じてもらうために
飛騨市の奥津さんとの取り組みは今後広まっていってほしいなと思うのですが、学ぶ不器用さのある子どもたちにとっては、現状、就学時に普通級か?通級か?支援級か?支援学校か?という判断を迫られると思います。
一般的に、支援級には本当に色々な児が所属します。
最初は支援級、その後普通級に移る子。普通級にいたけれど、高学年になり難しくなり転入してくる子。支援学校に何らかの理由があって行くことができない子。
その学級をクラスとしてまとめて、学習指導も情緒面のケアも日常生活のケアも行う先生方は本当に大変だと思います。学校は、実は(?)第一に「勉強するところ」であって、教員は「勉強を教える」という大切な役割を担っています。普通級でも支援級でも、個別的な対応が必要なお子さんはたくさんいます。しかし、教員の数やそれぞれのキャパシティにより対応は難しいことがあるため、そこは”作戦マン”となれる専門職を頼って、分担していいのではないかと個人的には思っています。
また、飛騨市のケースでもそうですが、「資金や人材を考慮できる人々が動いてくれること」が一番の近道ではあります。(記事②参照)
現場の状況を知る私たちこそ、望むばかりではなく積極的に発信したり関わっていかなければならないなと感じています。
支援級か普通級か迷っている保護者の方へのメッセージ
学校は、学ぶ楽しさを知るところだと思います。
迷う方はとても多いと思いますが、入学時の決定がすべてではありません。
日本全国、都心の事情、地方の事情、家庭の事情、本当に色々なケースがあると思います。
支援級勤務で得た私の個人的な見解は、『普通級でも支援級でも支援学校でも、その子が楽しく毎日学校に行けることが第一』であり、『子どもは、できた!楽しい!と思えれば学びたいと思い、自ら学んでいける』ということでした。そのような意味で、その子にとって楽しく学べる環境であることが第一だと思います。
この記事が、言語聴覚士でも作業療法士でも教育委員会の方でも保護者の方でも、
どなたかの参考になれば嬉しいです。
小学校・中学校や教育委員会の内情は外部の言語聴覚士がほとんど知りえることがないうえに、かなり自治体の個別性が高いので本当に大変かとは思いますが、ぜひ、この飛騨市のような取り組みを検討していただけたらと思います。
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!
執筆者 和久井和佳子(言語聴覚士)
【略歴】
2010年 言語聴覚士 取得
・公益社団法人発達協会(療育指導)・東京さくら病院(回復期病院)
2014-2022年 順天堂東京江東高齢者医療センター
・施設訪問自費リハビリ(業務委託)・支援学級指導員(非常勤・東京都)
・訪問リハビリ(非常勤・東京都)・児童発達支援事業所(非常勤・東京都)
2022年10月〜 新浦安内科・脳神経内科クリニック(常勤・外来リハビリ・千葉県浦安市)
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