国家試験のその先、言語聴覚士の日常の話
2026/02/24
こんにちは、plus-STの渡邉です。
2月になると、国家試験を控えた学生さんの緊張感が、さまざまな場面から伝わってきます(今年もお疲れさまでした)。
わたし自身も、かつては同じ時期に問題集と向き合いながら「合格さえすれば、言語聴覚士としてやっていける」と考えていました。
国家試験は、言語聴覚士を目指す上で避けて通れない大きな節目です。
ただ今日は、その合格のさらに先にある、実際の現場での日常について書いてみたいと思います。
目次
国家試験の先に待っていた現場の現実
学生時代、わたしは専門知識を活かし、評価や訓練を的確に行える言語聴覚士になることを思い描いていました。
教科書で学んだ知識を使いこなせれば、自然と患者さんの役に立てる。
国家試験も、「ここを越えれば一人前に近づける」という気持ちで臨んでいたように思います。
しかし、実際に現場に出て最初に感じたのは、教科書通りにいかない場面の多さでした。
患者さんの体調は日によって違い、集中力や気分にも波があります。
すべての患者さんが、リハビリに対して意欲的とは限りません。
評価ひとつとっても、環境や関係性によって結果が左右されることも。
訓練が思うように進まない日には、「自分の説明が悪かったのではないか」「評価の立て方が間違っていたのではないか」「他の人ならうまくできたのではないか」と考え込み、気持ちが沈むこともありました。
国家試験に合格しても、すぐに一人前になれるわけではない。
その現実に、戸惑いと落胆を感じたのをよく覚えています。
「できない自分」と向き合い続ける日常
現場には、経験豊富で判断も早く、患者さんやご家族から信頼されているリハビリの先輩方がいます。
その姿を見るたびに、自分との違いを強く意識しました。
「なぜ自分は同じようにできないのだろう」「言語聴覚士に向いていないのではないか」。
そんな思いが頭をよぎることもありました。
学生の頃には見えなかった差が、現場でははっきりと感じられたからです。
一方で、日々の業務を重ねる中で、うまくいかなかった評価や訓練が、次に同じ場面に出会ったときの判断材料になっていることにも気づき始めます。
迷いながら対応した経験が、少しずつ自分の引き出しを増やしてくれていたのです。
「できない時間」を経なければ見えないことがある。
その事実を、現場の日常の中で実感するようになりました。
これから言語聴覚士として羽ばたくあなたへ伝えたいこと
国家試験前は、「合格できるだろうか」「現場で通用するだろうか」と不安を感じている学生さんも多いと思います。
その不安は、とても自然なものです。
完璧な言語聴覚士はいません。
多くの人が、現場で悩み、立ち止まりながら学び続けています。
国家試験はゴールではなく、言語聴覚士としての日常の始まりです。
その日常は、決して一直線ではありませんが、続けていく中でしか見えない景色があります。
今感じている不安や迷いも、その一部として、いつか自分を支える経験になるはずです。
ともに明るい未来へ向けて、今がんばりましょう。
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
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