上司がSTではない職場で、STとして働くということ
2026/02/3
こんにちは、plus-STの渡邉です。
言語聴覚士として働いていると、「上司が言語聴覚士ではない」職場は決して珍しくないですよね。
たとえば、リハ部長やリハ科長といった役職は、比較的理学療法士が担うことが多いように思います。
わたしもいくつかの職場を経験してきましたが、「先輩ST」はいても上司となると理学療法士の方ばかりでした。
おまけに、言語聴覚士はリハビリ職のなかでも少数派です。
となると、「ここ、うまく伝わっていないかもしれない」と感じる瞬間がでてきます。
そしてその小さな違和感が重なると、少しずつ働きづらさが積もっていくものです。
心当たりがある方もいらっしゃるでしょうか。
上司が言語聴覚士ではない職場で働く中で、多くの言語聴覚士が感じやすい“ズレ”と、その環境で言語聴覚士として仕事を続けていくために意識したいことを整理します。
目次
STの仕事=評価も訓練も“見えにくい”
STの業務は、成果が数字や動作として表れにくいといえます。
嚥下評価ひとつとっても、「何を見て」「何を判断して」「どんなリスクを想定しているのか」は、同じ専門職でなければ理解しづらい部分がありますよね。
上司がSTでない場合、
・評価に時間がかかる
・なにを目的とした訓練かわかりにくい
・直接的な変化が分かりにくい
といった点だけが切り取られることもあるでしょう。
その結果、STの仕事は「後回しにしてもいいもの」「優先度が低いもの」と無意識に位置づけられてしまうことがあるのも事実。
これは能力の問題ではなく、仕事の性質そのものが見えにくいということです。
「分かってもらえない」の正体
上司がSTではない職場で生じやすいのは、価値観の対立というよりも「言語の違い」のようなものだと思います。
STが当たり前に使っている評価視点や臨床的判断は、他職種の言語に翻訳しなければ伝わりません。
たとえば、「今は訓練より評価を優先したい」「この時期は量より質が大事」といった判断も、理由を共有しなければ「消極的」「効率が悪い」と受け取られてしまうことがあります。
ここで大切なのは、理解されないことを嘆くことではなく、最初から“共有が必要な前提”だと捉えることでしょう。
専門が違えば、見えている世界が違う。
その前提に立つだけで、伝え方を変える必要性に気づけるはずです。
言語聴覚士として働き続けるために
だからといって、言語聴覚士側がすべてを抱え込む必要はありませんよね。
ただ、少数派になりやすい職種だからこそ、意識しておきたい点はあります。
ひとつは、「言語聴覚士としての判断」を、感覚ではなく言語化して共有すること。
口頭だけでなく、記録やカンファレンスで共有することで、仕事の輪郭が見えやすくなります。
もうひとつは、理解されない=否定された、ではないと切り分けること。
専門が違えば、判断基準が違うのは当然です。
そこに感情を重ねすぎないことが、長く働くための1つのコツと言えます。
さいごに
上司が言語聴覚士ではない職場で働くことは、決して特別なことではありません。
その環境には難しさもありますが、言語聴覚士の仕事を言葉にし、共有していく力が育つ場でもあります。
「分かってもらえない」と感じた経験は、言語聴覚士としての視点が確かにそこにある証拠です。
その視点を手放さず、少しずつ外に伝えていくこと。
それが、上司が誰であっても、言語聴覚士として働き続けるための土台になるのではないでしょうか。
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
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