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「STを辞めたい」と思ったことがある人へ

2026/02/10

こんにちは、plus-STの渡邉です。

「言語聴覚士を辞めたい」と思ったことがある、という話は、決して珍しくありません。

ただし、その理由を丁寧に分解してみると、「言語聴覚士という仕事そのもの」を否定したいというより、今の働き方や判断環境に違和感を覚えているケースが多いように感じます。

 

そこで今回は、「辞めたい」という考えが生まれやすい構造的な背景と、そこから何を切り分けて考えるとよいかを、一緒に整理しましょう。

「辞めたい」≠ 能力不足

まず前提として、「辞めたい」と感じた経験そのものを、問題視する必要はありません。

言語聴覚士の仕事は、成果が数値や動作として即座に可視化されにくく、判断の妥当性も時間差でしか検証できません。

評価、訓練方針、介入のタイミング…

その一つひとつに「正解」が用意されていない以上、一定期間働けば自分の判断を疑う場面が出てくるのは自然なことです。

 

ここで重要なのは、「向いていない(という思い込み)=辞めたい」と短絡的に結論づけないことです。

多くの場合、迷いが生じているのは、判断の量や責任が増えてきた段階だと思います。

辞めたい理由は?

「辞めたい」と感じる背景を整理すると、主に次の3つに分けられます。

 

1つ目は、業務内容や裁量のミスマッチです。

やりたい臨床がある一方で、時間や体制の制約から十分に取り組めない。

または、判断を求められる場面が増えたのに、裁量は与えられていない。

このズレが続くと、仕事そのものに違和感が蓄積します。

 

2つ目は、説明責任の偏りです。

言語聴覚士は少数職種であることが多く、「なぜその判断をしたのか」を説明する役割を担いがちです。

説明が業務の一部であること自体は問題ではありませんが、判断・説明・調整を一人で背負い続けると、負荷が集中します。

 

3つ目は、評価基準の不明瞭さです。

何をもって「良い言語聴覚士」とされているのかが曖昧な職場では、自分の仕事の良し悪しを判断できず、達成感を持ちにくくなります。

さらに、その違和感が、「正当に評価されていない」という不満に繋がることも考えられますよね。

切り分けたい視点

ここで一度、冷静に切り分けて考えてみてください。

 

 ・言語聴覚士という職種そのものが合わないのか
 ・今の職場環境や役割が合っていないのか
 ・求められている判断レベルと、裁量が釣り合っているか

 

この3点は、意外と混ざって考えられがちです。

 

しかし実際には、職種の問題ではなく、配置や期待値の問題であることも少なくありません。

辞める・続けるという判断の前に、「何が合っていないのか」を具体化することが、次の選択を現実的にします。

 

「辞めたい」と思ったあとに取る選択は、人それぞれです。

続けることも、環境を変えることも、辞めることも、いずれも一つの判断に違いありません。

重要なのは、

 

 ・感情だけで決めないこと
 ・勢いだけで否定しないこと

 

です。

臨床で培った「状況を整理し、選択肢を比較し、判断する力」は、この場面でも十分に使えます。

さいごに

「言語聴覚士を辞めたい」と思った経験は、これまで積み重ねてきた臨床や判断を無意味にするものではありません。

むしろ、それだけ仕事に向き合ってきたからこそ、立ち止まって考える視点が生まれたとも言えます。

 

辞めるかどうかを急いで決める必要はありません。

「自分は何に違和感を覚えているのか」を整理してみるという作業自体が、STとして身につけてきた実務的な力の延長線上にあります。

 

年度末のこの時期、今一度じっくり自分と対話してみてはいかがでしょうか?

 

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

 

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