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発症から年単位で経過してのリハビリ ー結果をだすための秘訣ー

2025/03/11

こんにちは、plus-STの渡邉です。

訪問看護ステーション勤務時代、発症後数年経過した方のリハビリに携わることが多くありました。

そんなみなさんとの関わりを通して学んだことをまとめます。

「今さらやって何になるの…」という人は少ない

意外に思われる方もいるかもしれませんが、「今さら何をしてもしょうがない…」と諦めモードの方はあまりいらっしゃいませんでした。

お金と時間を使ってリハビリを受けたいと依頼されている時点で、何かしらの希望を持っていらっしゃる方ばかりなのだとは思いますが、前向きな方が多かったです。

なかには、急性期や回復期リハビリからうまく繋げてもらえず、言語聴覚療法を受けていない空白期間が年単位にのぼる方もいらっしゃいました。

そういう方こそ、「もう一度!」と意欲的だったことが印象深く残っています。

時間が経過したからこそぶつかる壁

特に多かった依頼は、構音機能と嚥下機能に関してでした。

家族には言いたいことがすんなり伝わるようになったので、発症前に通っていた趣味サークルに自信を持って行ったら、誰にも話が伝わらなくて愕然としたーとか。

家での食事は普通食に戻って問題なく食べられているので外食をしたら、家と同じメニューでもうまく食べられず、家で作る食事はすべてやわらかめに調理していることに気付いたーなど。

発症から時間が経過して回復してきたからこそぶつかる壁に、みなさん悩まれていました。

短期的にみた“維持”は長期的にみた“向上”

リハビリの空白期間に衰えを感じていた方が、私たちの介入によって衰えを感じなくなり、向上はしないまでも維持はできる状態になったときにおっしゃっていたことばです。

なにもしなければ衰えていく一方だけど、リハビリをすることで維持ができているから、長い目で見たら上向いているのと一緒とのことでした。

私たちは週に1回程度関わっているだけなので、ご本人の自主トレーニングの賜物であることは言うまでもありませんが、そうして感謝を向けられることが多々ありました。

【結論】結果が出る人と出ない人の違い

生活期は、回復期に比べるとどうしても回復の幅もスピードも鈍ります。

それはすべての方に共通する事実ではありますが、生活期でもリハビリの結果を出している方はたくさんいました。

その分岐点は、自主トレーニングをどれだけできていたかだと思います。

在宅の世界では、病院のように毎日隣についてリハビリをすることができないので、ご希望の方には宿題や自主練習メニューを出していました。

やるかやらないかはご本人やご家族にお任せしていますが、やはり楽しんで毎日続けられた方は機能の維持・向上が認められました。

   

一方で、たとえば体調不良や短期の入院等で自主トレーニングができない期間があると、坂道を転がるように逆戻りすることも多々あります。

また、私たちが訪問した時間のみリハビリをがんばる!という方は、なかなか結果が出ないことも…。

小さくても、毎日の積み重ねが重要なのだと感じます。

自主トレーニングを日常に

せっかく時間とお金を使ってサービスを利用されているので、私たちとしてはなんとか結果に繋げたい!

ということで、自主トレーニングの有効性をお伝えし、生活の一部に組み込んでもらえるように指導していました。

たとえば…

 ・朝の洗顔時に顔の体操をする

 ・毎朝観るニュースの字幕を音読する

 ・妻が皿洗いをしている時間に自分はプリントに取り組む

などです。

そうしてルーティン化してしまえば、意識せずとも毎日トレーニングを積むことになり、結果に結びつきやすくなります。

その結果を実感したいと、週末にお孫さんとビデオ通話をし、自分の言っていることが伝わるかテストしている方もいました。

さいごに

発症後数年経過していると、すでに代替手段を用いての日常生活が成立していることが多いです。

そこからさらに1歩前進したい!という方や、なにか目標がある方(先述したようにお孫さんと電話したいなど)は、何年経過していようとも意欲的にリハビリに取り組まれます。

とても勉強熱心で、ご自身の病気に関する専門書やリハビリの専門書を購入して学ばれている方もいました。

最近では、100円ショップでも気軽にトライできるワークやリハビリに使えそうなグッズが多数販売されており、みなさん上手に見つけて「こんなのが売ってました!」と教えてくださることもしばしば。

楽しく、細くても長く、いきいきとリハビリに取り組める環境を整えたり、情報を提供したりすることが、私たちの役目の1つかと思います。

   

執筆者 渡邉睦美(言語聴覚士)

   

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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