保護者へ“伝える”力の磨き方
2025/09/30
こんにちは、plus-STの渡邉です。
小児領域で働く言語聴覚士のみなさん、保護者対応はうまくいっていますか?
過去コラムでも何度か触れていますが、小児領域では保護者対応が大きなウエイトを占めることも珍しくありません。
成人領域で働く言語聴覚士からは「保護者対応なんて自信ない…」と言われることもしばしば。
そこで今回は、一方的に伝えるのではなく、しっかりと伝わるような関わり方を磨くコツを考えてみます。
目次
恐れるべきは誤解
一生懸命子どもたちに向き合い、子どもたちの未来を想い、どんなに丁寧にセラピーを行っていても、保護者の方への伝え方1つでその関係は脆く崩れてしまいます。
信頼してもらうために専門用語を並べても「なにを言っているのかわからない」と思われ、挙句の果てには「寄り添ってもらえない」と不満を抱かせてしまう原因になりかねません。
うまく言葉で説明するのが難しいときには、セラピーに同席していただくのが1番手っ取り早いです。
どうしても難しいという場合もあるかと思いますが、可能な限り一部でも同席してもらえると、保護者の不安も解消されると思います。
専門用語は封印
専門用語を使うのは、記録の中や同業者との情報共有に限定しましょう。
保護者のなかにはわが子のために勉強されている方もたくさんいらっしゃいますが、専門用語がわたしたちの思う意味のまますんなり伝わるかというと、そうとは限りません。
「置換が起きています」 → 「カ行がタ行になりやすいです」
「語頭音が脱落しています」 → 「話し始めの最初の音が抜けることがあります」
上記のように、なるべく日常で使われる表現に変えてみましょう。
そうするだけで、保護者の方の理解度が深まるだけでなく、わたしたち専門職への心の壁も消えて行くと思います。
できていることも同時に伝える
わたしたちも保護者のみなさんも、お子さんを伸ばしてあげたいがためにできていないことに注目しがちです。
もちろんそれはセラピーを行う上で必要不可欠なポイントではありますが、「あれができません」「これもまだです」と言われ続けることは、保護者にとって大きな苦痛と不安をもたらします。
「〇〇が苦手でしたができるようになりましたね」「△△は問題ないですよ」など、客観的でポジティブな情報も必ず添えましょう。
専門職から伝えられるそういった情報は、保護者の心を軽くするはずです。
双方向のやりとりを心掛ける
限られた時間でフィードバックしようと思うと、こちらの言いたいことを言うだけで終わってしまうこともあるかもしれません。
しかし、セラピーを通して本人の困りごとはわかっても、日常で保護者がどういったところに困り感を抱えているかは、訊いてみないとわからないものです。
「ご家庭ではどうですか?」「この点に関して、お母さんがお困りのことはありませんか?」など、保護者が悩みを打ち明けるチャンスを提供することも、わたしたちの役割だと思います。
そういったやりとりのなかで、家庭での関わり方や練習の仕方などを共有していくこともできますね。
さいごに
以前、お子さんが補聴器を装用することについて不安の強い保護者の方に対して、「視力が落ちたらメガネをかけますよね?聴力が落ちてるから補聴器をつける…同じだと思いませんか?」とお声掛けしたことがあります。
その瞬間、憑き物がとれたように「そっか!」と表情が晴れておられました。
わたしはたまたまその場に居合わせただけで、その方の担当だったわけではありません。
けれど、補聴器の説明をしている医療スタッフの言葉が届いていないように思えたので、おこがましくも口を挟みました。
わたしたち言語聴覚士にとっては比較的身近な補聴器も、保護者の方にとっては日常に存在しない“異質”なもの。
それを日常に存在するメガネと同列に扱うことで、この方はすんなり受け入れることができたようです。
もちろん、この表現がすべての方にベストなわけではありません。
保護者対応に限らず成人領域においても、相手がどこに引っかかっているのか、なにを不安に思っているのかを見極め、それらを解消する表現を選ぶ必要があります。
専門用語は便利ですがそこに甘えず、患者さんに寄り添える医療者でありたいですね。
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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