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多職種連携を深めたい

2025/02/12

訪問看護ステーション勤務時代、多職種連携は大きなテーマの1つでした。 

デジタルの時代ですが、なるべくアナログで顔の見える関係を築こうと奔走した思い出があります。 

それは私たちだけではなかったのだとわかる記事を見つけたので、シェアします。 

専門職の連携促進をめざして 

在宅療養を取り巻く専門職が交流することで環境改善を目指す団体が、岡山県に発足したそうです。 

在宅医療・福祉、垣根越え環境改善へ 専門職交流の団体が発足 岡山 [岡山県]:朝日新聞デジタル 

朝日新聞デジタル 在宅医療・福祉、垣根越え環境改善へ 専門職交流の団体が発足 岡山【岡山県】 

記事によると… 

在宅で療養する1人の利用者に対し、診療・医療的ケア/リハビリテーション/介護など、多数の専門職が関わっています。 

しかし、それぞれがそれぞれの役割をこなすのみで、連携が十分とは言えない現状があるそうです。 

そこで、こういった専門職の連携促進を図ろうと、「岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会」が昨年11月に発足しました。 

参加者の職種は、医師や看護師、介護職員のほか言語聴覚士など多岐に渡ります。 

キックオフイベントには約100人が集まり、オンラインでも県内外から300人以上が視聴したとのことで、関心の高さがうかがえます。 

活動方針としては、各分野の専門知識を共有する勉強会▽医療・福祉などの制度に関する情報提供▽様々な専門職同士がつながる交流の場の提供などに取り組むとのことです。 

実際の現場では 

私が訪問看護ステーションに勤務していた当時、地域の医師・看護師・介護支援専門員・介護職・リハビリテーション職などが集まり、事例に対してグループワークをしたり情報共有をしたりといった機会が、行政主導で年2回設けられていました。 

また、自社においても同様の会を企画・運営していたこともあります。 

『顔の見える関係』を築くためにこういった会に参加するほか、普段から極力お互いの事業所を訪ね、時間の許す限り対面で会話していました。 

ところが、コロナ禍に入り、交流の機会は次々となくなりました。 

報告書を手渡しすることはほぼなくなり、郵送や事業所玄関のポストに投函といったスタイルに変わってしまったのです。 

コロナ禍は特殊な期間だったにせよ、コロナ禍前から顔の見える関係づくりにたくさんの人が奔走していたことを考えると、在宅療養に携わる多くの人がそこに課題を見い出していたのでしょう。 

たまたま病棟の廊下で出くわして「そういえばあの患者さん…」と話をつなげられる病院とは異なり、在宅の世界では自分から会う機会を設けないと他職種と関わることはほぼありません。 

小さな違和感を共有できずにいたせいで、後々大きなトラブルになることもあります。 

情報共有ノートを作ったり報告書を共有したりと、工夫してお互いに交流を図っていました。 

これから先を見据えて 

在宅の世界にいる言語聴覚士のみなさん、精神疾患をお持ちの利用者様が増えていませんか? 

私が勤務していた訪問看護ステーションでは精神科訪問看護を行っていたので、研修を受けた看護師と作業療法士が在籍していました。 

私も「嚥下を見てほしい」「構音を見てほしい」などといった依頼があり、同行訪問したことがあります。 

そのときによく介護支援専門員のみなさんから聞かれた声が、「精神科にかかっている利用者様が増えてきた」というものでした。 

すでに5年以上経過しているので、今はもう珍しくないかもしれませんが…。 

介護支援専門員の方のなかには、精神科領域は未知でありこれまで関わったことがなかったという方もいらっしゃいます。 

要介護認定を受けて担当になってから初めて、精神科にも通院されていることがわかることもあるそうです。 

どういった対応が必要なのかわからず、戸惑われている声があちこちから聞こえました。 

逆に、精神科病院に勤務されている精神保健福祉士の方や、精神科領域の方も担当する相談支援専門員の方からは、それまで精神科のみの通院だった方が要介護認定を受けたといった相談もありました。 

相談支援専門員の方が担当する対象である発達障害と診断されるお子さんが増え、『大人の発達障害』ということばもよく聞かれるようになった今、介護保険領域だけ・精神科領域だけ・発達領域だけの知識では、対応困難な利用者様が増えていくかもしれませんね。 

そういった意味でも、さまざまな職種が交流しながら連携を深められる機会を設けることは、重要なことだと思います。 

さいごに 

岡山県の取り組みから、在宅の世界における多職種連携について考えました。 

専門職同士の交流が増え連携が深まることで、利用者様にとっても過ごしやすい環境が整うと思います。 

日々の業務だけで精一杯!という方も多いかと思いますが、便利で手軽なオンラインも駆使しながら、多職種連携を深めていけるといいですね。 

執筆者 渡邉睦美(言語聴覚士) 

 

 

 このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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