臨床実習の心得 ー人見知りコミュ障の場合ー
2025/05/1
こんにちは、plus-STの渡邉です。
言語聴覚士になるために避けて通れないのが、国家試験と実習ですよね。
私は実習で失敗している人間です…。
それでも言語聴覚士にはなれたので、胸が痛みますが当時を振り返ります。
働きやすい環境を整える秘訣 と似た部分もあります。
実習でも勤務でも、大事なことは同じなのかもしれません。
目次
古(いにしえ)の実習体験談
私が言語聴覚士になったのは、2010年です。
つまり、実習はさらにそれ以前に行っていました。
実習に関する悲しい事件があり、今ではその環境もずいぶんと改善されたと聞きますが、当時はなかなかハードなものでした。
たとえば…
・実習期間中はほぼ徹夜(朝7時に寝て7時30分に起きて行くなど)
・バイザーに無視される、厳しく叱責される、邪魔者扱いは当たり前
・実習に直接関係のないこと(下着の柄)について調べられ、改善を求められる
などなど、今なら大問題になるようなことも、当時は実習生が黙って耐えるしかなかったのが事実です。
正直に言えば、養成校のチューターに助けを求めたことはありますが、「実習先のバイザーに従いなさい」と突っぱねられることがほとんどでした。
それくらい、実習先と養成校・バイザーと実習生の上下関係ははっきりしていたのです。
時代…と言ってしまえばそれまでですが、よくみんな耐えていたなぁ…と思います。
私の周りだけではない…ですよね?
ちなみに、とある実習先で一緒になった他科の実習生たちは、翌日実習があろうとも夕食や花火大会などに連れ出されていました。
翌日の実習を理由に断ることは許されず、かといってそれで翌日提出すべき課題が提出できないことも許されず…
もちろん、実習中の居眠りなど言語道断!
ともに遠方からその実習地に来ていて同じアパートを借りていたのですが、全員の部屋にもれなく栄養ドリンクや眠気覚ましをしてくれるドリンクが箱でストックしてあり、実習が進むにつれて空が何本も転がっていったのを覚えています。
現在、実習生を受け入れている同期の言語聴覚士に聞くと、今は様変わりしたと聞きました。
実習生個人のキャパシティに合わせて課題の量は調整され、実習時間内にすべて仕上げられるようにスケジューリングされているそうですね。
実習生は未来を担う貴重な存在として大切に育てるという文化が根付いてきているのかと思うと、嬉しくもあり安心する次第です。
当時厳しく育てようとしてくださったバイザーやチューターの先生方を恨むことはありませんし、そうして育てていただいたおかげで今の自分があることは間違いないです。
それでも、笑顔で振り返られる思い出ではありません…。
実習生ファースト?
ここまで書いてきたように、今実習生をとりまく環境は改善され、実習生ファーストと呼ばれることもあるようです。
では、その環境に実習生はあぐらをかいていていいのかと言えば、もちろんそんなことはありません。
日々慌ただしい臨床に実習生を迎え入れることは、バイザーだけではなくほかのスタッフにも負担がのしかかります。
それでも、(施設の方針とはいえ)若い芽を育てるために受け入れてくれているのです。
また、患者さまや利用者さまにとっても、プラスなことばかりではないはずです。
本当なら休息に充てられる時間で実習生の評価・訓練に協力するなんて、なんとも頭が下がる思いがしませんか?
そういった、迎え入れる側の善意を無駄にしてはいけません。
具体的な心がけ
では、具体的にどんな心がけでどういうふうに動けばいいのでしょうか?
言語聴覚士として働いてきたくせに、人見知りでいわゆるコミュ障を自覚する私の主観にすぎませんがご紹介します。
▶いつも口角を上げる
TPOに合わせる必要はありますが、緊張や不安などでこわい顔になることが多いので気を付けていました。
▶相手の時間を自分が拝借していることを自覚する
時は金なりとはよく言ったもので、バイザーに対しても他のスタッフに対しても患者さまに対しても、貴重な時間を自分のために割いてくれていることを肝に銘じていました。
そのために、質問は簡潔に伝えたり、評価や訓練の準備はぬかりなく行ったりしていました。
▶「あ!」「ん?」と思ったことはなるべくその場で発信する
後になると、質問に答える側からすると「いつのこと?」「そんな場面見てない」といった状態になります。
時には、その一言でインシデントが防げることも。
周囲への配慮は必要ですが、なるべくその場で伝えて回答は後から貰う…などでもいいと思います。
※質問のタイミングはバイザーの方針によるので、事前に確認しておくとよいですね。
ちなみに、私が実習の度にバイザーから指摘されていた課題は、積極性のなさでした。
毎回違う実習先・違うバイザーにも関わらずその内容は同じだったので、成長できていないこと、かなり積極性が低いことが窺えます。
恐ろしいことに自覚がなかったのですから、他者に評価してもらうことは大切ですね。
たしかに、「今これ言ったら迷惑かも…」「こんな質問したらバカにされるかも…」「あとで調べればいいか…」とその都度自分に言い訳をしてことばも手も引っ込めていたことに、大人になってから気付きました…。
さいごに
私と同じようなタイプの学生さんは、実習を必要以上に恐れているかもしれませんね。
当時、養成校の先生から「入職せずにいろんな職場を知れるんだから羨ましいわよ~!」と笑われても「それは先生がプロの言語聴覚士だから言えることじゃん…」と思っていましたが、今なら先生の意図がわかります。
入職してから他の職場を身をもって知ることはほぼ不可能です。
言語聴覚士としての動き方だけではなく、社会人としての働き方をも知るチャンスかもしれません。
「早く過ぎて~!」と耐え忍ぶよりは、いろんなことを学び、吸収して、実習を楽しめるといいですね。
これから実習を迎えるみなさん、応援しています!
執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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