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訪問看護ステーションでの働き方

2024/11/8

こんにちは、plus-STの渡邉です。

言語聴覚士の働く場の1つとして、訪問看護ステーションがあります。

病院から訪問看護ステーションへ転職して感じた違いや、病院勤務にはない業務をお伝えします。

病院と訪問看護ステーションの違い

①接遇

訪看に転職して最初に行ったのは、個人宅を訪ねる際の接遇について学ぶことでした。

病院勤務でも接遇面は重要で研修もあると思いますし、挨拶や身だしなみなどの基本的なマナーは共通しています。

しかし、病院で患者様をお迎えする場合と、こちらから個人宅へお伺いする場合では、重視されるポイントが異なりました。

病院の場合はリハビリ室へ患者様に来ていただくことがほとんどですが、訪問の場合は利用者様のお宅でのリハビリとなります。

つまり、利用者様のテリトリーにおじゃまする形です。

おまけに、普通なら他人に見られたくないであろう寝室やキッチンにも入ります。

そのため、利用者様の生活の場を乱さないような配慮が重視されていました。

病院勤務の職員よりも幾分ラフな格好で、ご自宅で交流するという点において、ともすると心理的な距離が近くなりすぎてしまうこともあるのが訪看だと思います。

言葉遣いや態度が崩れやすい条件が揃っているとも言えるでしょう。

物理的にも心理的にも、必要最低限の踏み込みにとどめる心掛けが必要でした。

②信頼

病院は常に他者の目があり、患者様と2人きりという状況の方が少ないでしょう。

一方で、特別な場合を除き訪問は1人で行います。

認知症の方やご自身では歩行が困難な方などのお宅を訪ねる場合には、予め鍵の場所を共有していただいて、私たちが開錠した上で訪問することもあります。

つまり利用者様やご家族は、契約後初回の訪問からほぼ見ず知らずの他人である私たちに、命も財産も預けなければならないのです。

仕方がないとはいえ、なかなか稀有な状況だと思いませんか?

私は兎にも角にも、最短で信頼を得られるよう心掛けていました。

訪問開始前にご本人やご家族にお会いできる機会は1回あるかないかという状況でしたが、直接ことばを交わすチャンスを大切にしてきました。

書面だけのやりとりよりも、打ち解けるスピードはぐんと上がるという実感があります。

③責任

②でも触れましたが、病院には他の職員が必ずいます。

なにか緊急事態があっても、即座に医師・看護師を含む大勢の医療従事者が集まり、対処可能です。

しかし、訪問は基本的に自分1人です。

不測の事態が起こったときに、頼れるのは自分だけ。

私自身、訪問したら利用者様が倒れていた、ご友人と談笑していると思ったら悪徳業者だったなどの経験があります。

その場で状況を分析し即座に判断する能力が求められ、その判断に責任を負う覚悟が必要です。

④営業

これは勤務する訪看によって異なると思いますが、私が勤務していた訪看は母体が病院ではなく株式会社でした。

そのため、黙って待っているだけでは依頼はゼロ。

訪問の合間に職員全員が営業に回りました。

それまで名刺交換などしたことがなかった私ですが、名刺とチラシを携えて飛び込み営業もしています。

小心者の私は慣れるまで胃が痛くなりながら、少しずつ顔と名前を覚えてもらって依頼を受けるようになりました。

業務内容

①専門分野以外の業務

言語聴覚士として依頼を受け訪問するわけですが、言語聴覚療法だけをしていた日は1日もありません。

時には理学療法士のように付き添って畑に出たり、作業療法士のように手を添えて手紙を書くお手伝いをしたり。

また、利用者様だけではなく、ご家族の話に耳を傾け精神的なフォローをすることもありました。

もちろん過剰な支援はできませんが、可能な限り有意義な時間となるよう、利用者様やご家族のお声を聴いていました。

②移動手段の管理

日々の記録を管理したり月末などのタイミングで報告書を出したりといった業務は、どこに勤めていてもあると思います。

一方で、訪問系サービス特有の業務に移動手段の管理があります。

私が勤めていた訪看では主に自動車を使っていたので、走行距離の記録やガソリンスタンドでの給油・洗車・オイル交換、車検などの管理が必要でした。

また、冬は積雪のある地域なので、訪問先の駐車スペースを1人でせっせと除雪したり、道中で立ち往生しても自力で脱出できるスキルを身に付けたりもしました。

都市部では自動車の他、電動自転車や電車での訪問が多いと聞きます。

どういった業務があるのか気になるところです。

③多職種との連携

他職種との連携も、どこに勤めていても密に発生するものだと思います。

訪看ではケアマネさんとのやりとりが最も頻回にあり、くわえて相談員さんや担当医との連携も非常に多いです。

私が勤務していた訪看では、日々の連絡は電話で、月末月初の報告書・計画書を共有するときはできるだけ直接手渡ししていました。 コロナ禍になると郵送でのやりとりを求められることもありましたが、極力顔の見える関係を構築・継続することに注力していました。

さいごに

病院から訪問看護ステーションへ転職して、全く違う世界に驚きました。

言語聴覚士という専門性は、入り口として非常に重要です。

依頼は言語聴覚療法を求めてやってきます。

ですが、関係を継続していく段階では、専門性よりも個々の人間性の方がより重視されると感じました。

さて次回は、そんな訪問看護ステーションでの経験談のうち、特に心に残っているものをいくつかまとめてお送りします。

反省点も多いですが、勉強になった日々を振り返ります。

ぜひご覧ください。

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!


執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

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