療養病棟(生活期)のリハビリテーション
2024/11/5皆さん、こんにちは。plus-STの黒木です。
今回は、「療養病棟」での言語聴覚士のリハビリテーションについて、リハビリテーションの定義や位置づけと共にお伝えしていきます。
皆さんの参考になれば幸いです。
目次
はじめにー療養病棟とはー
用語の解説 厚生労働省ホームページより引用
厚生労働省のガイドラインによると療養病棟は、「病院の病床(精神病床、感染症病床、結核病床を除く)又は一般診療所の病床のうち主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床」と定義されています。
すなわち急性期、回復期での治療・リハビリテーションが終了したのち、さらに治療・リハビリテーションが行われる場所が「療養病棟」です。
具体的にリハビリテーションを行う目的や実際に働いてみて感じたことについてを次章以降で説明していきます。
そもそも生活期リハビリテーションとは
生活期リハビリテーション 著:松坂 誠應より
松坂誠應先生の論文によると、
『生活期リハビリテーションは「在宅・施設を問わず、機能や活動の低下を防ぎ、身体的、精神的かつ社会的に最も適した生活を獲得するために提供されるリハビリテーション医療サービスの一部である」と定義される。体力や機能の維持・向上、生活環境の整備、介護負担の軽減、社会参加の促進などを通して、利用者の自立生活を支援することが目的とされる。』と記載されています。
療養病棟でのリハビリテーション
急性期や回復期でのリハビリテーションを行っている方は「リハビリテーションをやれば、どんどん回復していく!」という実感があると思います。
療養病棟に入院されている患者さんは、概ね機能回復がプラトーになった方、認知症など他の症状の影響で大きな回復が望めない方、施設入所をするにはまだ治療が必要と判断された方など様々です。
そのため急性期や回復期とは異なり、『経口のみで栄養を補うのは難しくても、お楽しみ程度の摂食訓練で嚥下機能を維持する』『日付や名前などを一緒に確認することで、認知機能を維持する』『会話訓練を通して、音声表出の機会と機能を維持する』といったように「機能維持」が大きな目標となります。そのため「残りの人生をその方らしく送るためのお手伝いをする」というのが療養病棟(床)でのリハビリテーションの意義となると私は考えます。
療養病棟での働き方はどんな人におすすめ?
療養病棟は長期的な入院になる患者さんが多いです。数か月で退院する患者さんもいれば、年単位で入院されている患者さんもいます。
そのため、「患者さんに長く・深く関わりたい」「残りの人生をその方らしく過ごせるようなリハビリの立案・関わりをしたい」という方は療養病棟で力を発揮することができると思います。
また、療養病棟は急性期・回復期と比べると、穏やかな時間が多いです。そのため、急性期のスピードについていけない…。回復期でのリハビリが大変…。などの悩みを抱えている方は、療養病棟での勤務を考えてみてもよいかもしれません。
もちろん、「療養病棟だから業務が楽」などということはありません。あくまで「スピード感」の違いであると思います。
機能維持が大きな目標の1つにはなりますが、その中でも少しずつ機能回復していく患者さんもいます。
経口摂取が難しかった患者さんの中にも、毎日のリハビリのおかげか徐々にゼリーが食べられるようになった方がいます。そのときの喜びはとても大きく、「STになってよかった」とやりがいを強く感じた瞬間でもありました。
急性期・回復期・生活期はそれぞれにそれぞれのやりがいがあります。
ご自身に合った働き方を見つけてみるのも、良いかもしれません。
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!
執筆者 黒木清佳 (言語聴覚士)
【略歴】
2019年 言語聴覚士国家資格取得
急性期~生活期まで、幅広いステージの病院勤務を経験。
現在は児童発達支援事業所に勤務。
【保有資格】
・言語聴覚士国家資格 ・臨床神経心理士 ・LSVT LOUD
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