吃音症と英検の話:『英検のための言語聴覚士の意見書』とは?
2024/07/31plus-STの和久井です。
今回は、『吃音症なので、英検のための言語聴覚士の意見書を書いてほしい』という依頼についてどう対処したか?の経験を書きたいと思います。
目次
英検の意見書の依頼がきたけど、どうしよう?
勤務先のクリニック(脳神経内科)にお問い合わせがあったのは電話で、私はリハ中で対応することができませんでしたが、受付のスタッフが『言語聴覚士が書けるかどうか今確認できないのでわからないが、まずは診察予約を』と、断ったりせず、週末に予約を取ってくれました。(ありがとう)
どうやら「最寄駅+言語聴覚士」で検索をしてたどり着いてくださったようです、ありがたいです。
英検のサイト、読んだけどややわかりにくい
・・・さて、13年間「吃音症」の臨床に携わってこなかった、知識が国試レベル、いや国試未満の私が
果たして意見書を書くことができるのだろうか、書いていいのか・・・!?どうしよう?
まずは公式の情報を調べないと話は始まらない、ということで英検の公式ページを見ると・・
※最新の回の情報が表示されます。次回は2024年度第2回、10月実施とのこと。
障がい等のある方への受験上の配慮について(PDF)
正直に言うと、分かりやすいようでわかりにくい。
PDFの要綱の中では、ここで初めて言語聴覚士の記載があり、後にも先にもこの一か所だけです。
読みようによっては、STの意見書がないと弱いのか、
意見書がないと万一の場合断られてしまうのだろうか?としばし悩みました。
当院には吃音症の評価ができるものもなく、評価が必要とも記載がなく、謎は深まるばかり。。
ただ、お問い合わせの電話で、『言語聴覚士による意見書が欲しい』とおっしゃっていたとのことで、
私が知らないだけで、STの意見書というものに医師の診断書とはまた別の意味があるのだろうかと、
今まで英検における吃音症の配慮について調べたことがなかったため判断に迷いました。
菊池先生の神対応
普段関わっている言語聴覚士や医師に吃音のことに明るい方が思い当たらず、
思い浮かぶのは、SNSで頻回に発信をしてくださっている
福岡県のはかたみち耳鼻咽喉科のアカウントおよび菊池良和先生でした。
背に腹は代えられず、不躾に聞くのは申し訳ないと思いつつ、意を決して
菊池良和先生に問い合わせをしたところ、快く教えてくださり(しかもタイミングよく光の速さで)、
さらに、その後英検での配慮についてSNSでもオープンに発信してくださったので、
以下を参照していただければと思います。本当に助かりました。
1から10まで教えてくださり、まさに神対応・・・ありがとうございます。
相談を受けたらこう対応しよう
・医師でも言語聴覚士でも担任の先生でも書けるので、より近い人に書いてもらうのが良さそう
・病院からはおそらく無料では出せないので「診断書」相当の料金がかかる
・書式は自由、基本的には公式サイトの案内通りに記載すればOK
・菊池先生のSNS記載を参考に、吃音のみであればほぼこの文で大丈夫
今回は当院ではSTの予約枠が空いておらず、ご本人にお会いできるのが医師診察のみとなる都合上、
医師が面談し、書類を作成してもらいました。
言語聴覚士として私が書類を書いたりすることはありませんでしたが、
公式サイトに「言語聴覚士の…」と記載がある以上、問い合わせが来ることはあると思います。
上記対応で受験上の配慮が受けられるとのことですので、
問い合わせがあった際は、スムーズにご案内ができるとよいですね。
個人的には、日常的に症状を見ている担任の先生がベストなんじゃないかな?とは思います。
このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!
執筆者 和久井和佳子(言語聴覚士)
【略歴】
2010年 言語聴覚士 取得
・公益社団法人発達協会(療育指導)・東京さくら病院(回復期病院)
2014-2022年 順天堂東京江東高齢者医療センター
・施設訪問自費リハビリ(業務委託)・支援学級指導員(非常勤・東京都)
・訪問リハビリ(非常勤・東京都)・児童発達支援事業所(非常勤・東京都)
2022年10月〜 新浦安内科・脳神経内科クリニック(常勤・外来リハビリ・千葉県浦安市)