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引き継ぎの質を高めるために~織り込むべき情報~

2026/03/10

こんにちは、plus-STの渡邉です。

新年度に向けて異動などが発表され、引き継ぎのための情報整理を行われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特にこの時期は、限られた時間のなかでたくさんの患者さん・利用者さんの情報をまとめる必要がありますよね。

 

そこで今回は、わたしが引き継ぎの際に意識していた“質を向上させるためのポイント”を共有します。

引き継ぎ資料作成やミーティングでの一助となれば嬉しいです。

引き継ぎに求められるもの

検査結果、経過、現在の到達段階、今後の課題、リスク管理、家族状況など、整理すべき情報は多岐にわたります。

しかし、情報を網羅的に記載することだけが、良い引き継ぎとは限りません。

支援が途切れないためには、「次の担当者がその方をどのように理解できるか」という視点が重要になります。

しかも、その理解を可能な限り時短できるような配慮が必要です。

 

わたしが意識していたのは、短い立ち話や氏名がうろ覚えの状態でも、「〇〇の人」と言えば「あ~あの人のことね」と理解できる“肩書き”のようなものを伝えることでした。

数値だけでは伝わらない臨床像

評価結果や訓練経過は、客観的な指標として不可欠です。

一方で、臨床の現場では、数値だけでは説明しきれない特徴に日々向き合っています。

 

例えば、課題場面では消極的でも雑談になると発話量が増える方、うまくいかないと笑って話題を変える方、ご家族が同席するとパフォーマンスが大きく変化する方など、行動や反応には個別性がありますよね。

こうした特徴は、短い文章であっても引き継ぎに添えることで、次の担当者が初回面接や訓練導入をスムーズに進めやすくなります。

「このような場面で力を発揮しやすい」「この声かけで反応が良かった」といった具体的な記述は、支援の再現性を高める実践的な情報となるでしょう。

支援の連続性を意識した伝達

そもそも、引き継ぎの目的は、担当者が変わっても支援の方向性が途切れないことです。

そのためには、現在の状態だけでなく、「どのような経過をたどって今に至っているか」を簡潔に示すことが重要です。

改善が見られた要因、停滞した時期に試した工夫、本人や家族の希望の変化など、経過に関する視点が共有されることで、次の支援計画が立てやすくなります。

 

また、生活場面での変化や参加状況なども、可能な範囲で伝えておくと有用です。

機能面の改善が生活のどの部分に結びついているのかが分かることで、目標設定の連続性が保たれます。

関わるなかで見えた「その人」らしさ

形式的な書類に加え、「この方を臨床の中でどのように理解してきたか」という視点を短く共有することも、実践的な引き継ぎにつながります。

たとえば、「趣味のゴルフの話が始まると饒舌になる」とか「毎朝新聞を音読するのが日課」など、関わりを深めるなかで知り得た情報で、次の担当者との関係構築に有用だろうことは、ご本人の同意を得た上で予め共有していました。

 

引き継ぎは、単に現在の状態を報告する作業ではなく、これまでの支援過程を踏まえた理解を次へつなぐ機会でもあります。

客観的データを基盤としながら、臨床で得られた実感を適切に言語化して渡すことで、担当者が変わっても支援の質を維持しやすくなるでしょう。

 

年度末は業務量が増え、引き継ぎが「書類作成のタスク」として処理されがちです。

しかし、引き継ぎの内容が充実しているほど、次の担当者は初期評価や関係構築に十分な時間を充てることができ、結果として利用者への支援も安定します。

情報を整理することに加え、「この方の支援で大切にしてきた視点は何か」を一言でも添えること。

その積み重ねが、支援の連続性を支える基盤になるのではないでしょうか。

 

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

 

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