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クリニックの外来で働くこと(成人・脳神経内科領域)

2024/03/21

こんにちは、plusーSTの企画発案、言語聴覚士の和久井です。

脳外科内科クリニックについて

個人の話ですが、小児(療育)3年、成人急性期病院の勤務を8年ほど経験した後に、
ご縁があり現在の脳神経内科クリニックでの勤務をしています。

現在、有難いことに毎日たくさんの患者さんにご来院いただいており、来月の予約はほとんど埋まっている状況です。
クリニック外来でできる言語聴覚療法が希少であること、
他院との差別化のひとつになっていることは間違いないと感じています。
当院は千葉県浦安市に位置していますが、浦安市に限らず近隣の都市からも
外来リハビリ目的に新規でお問い合わせをいただくことも多くなっています。

どんな患者さんが来院するの?

脳神経内科のクリニックでは、パーキンソン病をはじめとする神経疾患や、
いわゆる脳血管障害に起因する言語障害により、喋りにくさ、飲み込みにくさを感じている方が
多く来院され、リハビリの処方を受けています。

パーキンソン病などの神経疾患に起因する構音嚥下に関する不自由さは
かなり早期から現れていることを感じます。
客観的な評価として発話明瞭度としては1、発話自然度としては1~3程度と実用性は保たれていても、
ご本人としては違和感や不自由さを感じていることがほとんどです。

「なんとなくろれつが回らない気がする」「飲みにくい時がある」と感じて言語療法を希望され、
リハビリを処方される方の多くは、必ずと言っていいほど
顔面(特に口輪筋・大小頬骨筋・上唇挙筋・上唇鼻翼挙筋・笑筋など)の筋の柔軟性が低下しており、
舌は後方に引き込んで緊張が高く、小さく動くため
騒音下や複数人で話すなどの日常によくある応用場面で不便さを感じています。
不具合・不便さを感じながらも、何もせず経過していく方がほとんどかと思います。

急性期病院で勤務していた際、
入院に至るまでに一度も言語療法を経験していない方ばかりであることを残念に思っていました。

進行期の言語聴覚療法

今、クリニックの外来に通えるADL自立の患者さんに口腔の運動と顔面の運動の自主トレ指導や
声を大きく出す機会の確保、なにより運動の習慣づけ・家族以外と会話をする機会ができることで、
今後病気が進行していっても全く初めての運動ではないことになりますので、
進行自体の抑制もそうですが、進行期において言語聴覚療法が導入しやすくなるのではないかと
感じています。

高齢の方の場合、なおさら、新しいことを覚えるのが難しくなってきますので
早い段階から症状の進行予防とともに言語聴覚療法も導入していけるとよいと思います。

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
「お問い合わせ」フォームより、ぜひユーザーの皆様のお声を聞かせてください。

執筆者 和久井和佳子(言語聴覚士)
【略歴】
2010年 言語聴覚士 取得
・公益社団法人発達協会(療育指導)・東京さくら病院(回復期病院)
2014-2022年 順天堂東京江東高齢者医療センター
・施設訪問自費リハビリ(業務委託)・支援学級指導員(非常勤・東京都)
・訪問リハビリ(非常勤・東京都)・児童発達支援事業所(非常勤・東京都)
2022年10月〜 新浦安内科・脳神経内科クリニック(常勤・外来リハビリ・千葉県浦安市)

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