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他職種との温度差を乗り越えるために

2025/08/12

こんにちは、plus-STの渡邉です。

私たち言語聴覚士が働くフィールドは、成人であれ小児であれ、病院であれ施設であれ、多職種連携が基本ですよね。

チームを組んで患者さんや利用者さんのゴールに向かってそれぞれの役割を果たしますが、全員が必ずしも同じ熱量で取り組めているとは限りません。

そして残念ながら、言語聴覚士の立場は弱くなってしまうケースが多い気がします。

その傾向は、わたしの経験上、「言語聴覚士」をよくご存知ない職種の方とチームを組むときに、顕著に現れてくると思うのです。

どうして後回しにされるのか

まず、言語聴覚士を知らずとも、理学療法士は多くの方がご存知だと思います。

その知名度の差から、「リハビリ=身体機能の回復=立つ・歩くことの練習」と捉えられがちではないでしょうか。

となると、どうしてもことばの課題よりも行動の課題の方が注目されがちです。

 

また、それぞれの立場によって専門性が違うため、優先順位が異なります。

たとえば…

 

 医 師  ▶ 診断や投薬による改善を図りたい

理学療法士 ▶ 転倒の防止に重きを置いている

学校の先生 ▶ 授業中に座っていられるようになってほしい

 

こういった専門家としての視点の違いの上で、限られた時間・資金のなかで支援するため、言語聴覚士的な視点である構音の明瞭度向上や語彙の広がりなどは、優先度が低くなりがちなのが現状です。

ただ、この視点の違いがあるからこそ、多角的に患者さんの人生に寄り添えることは間違いありません。

わかりやすいことばで伝える工夫

だからといって、言語的な課題をいつまでも放置すべきではありません。

意思疎通が図れないことが、本人にとっても周りにとっても大きなストレスになることは、大きな問題です。

だからこそわたしたちは、その優先順位の高さをわかりやすく伝える必要があります。

 

その秘訣は【専門用語を言い換えて、わかりやすいことばで語る】ことです。

例を挙げます。

 

例1|構音訓練の必要性を説く

×「側音化構音が顕著で…」

〇「イ段の音が空気が漏れて歪んでしまい、話した内容を誤解されるケースが見られます」

 

例2|語彙の乏しさを共有する

×「語彙数の発達が…」

〇「“かゆい”という表現を知らないために“いたい”と言ってしまい、理解してもらえずに癇癪に繋がっているようです」

 

いかがでしょうか。

言語に関して専門外であっても、誤解などに起因する困りごとに繋げると、他の職種にもぐっと納得してもらいやすくなります。

具体的なゴールを示す

温度差を埋めるためには、言語聴覚士がめざすゴールを明確に示すことも有効です。

その目的は、他の専門職の仕事をないがしろにすることではありません。

「通じることばを増やすことで本人の思いや考えが伝わりやすくなり、二次的な障害の予防・減少が期待できる」など、支援者全員の支援をスムーズにするためのインフラ整備的な面も担っていることを実感してもらえると、周囲の捉え方が変わることもあります。

 

患者さん本人だけではなく、他の支援者についてもよく情報収集し、どんなところに困りごとがありそうなのか、その課題は言語聴覚士として解決できないものなのかを考えることで、結果的に患者さんのQOL向上に繋がることもあるのです。

「支援者の支援までしていられない!」と一蹴せず、チームとしてお互いのことを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

さいごに

言語聴覚士の介入は目に見えにくく、チームの一員であっても理解されないこともあります。

けれど、わたしたちは“ことばの専門家”です。

患者さんだけではなく、支援者に対してもわかりやすく伝え、信頼を積み重ねることで、チームのなかに“ことばの価値”が根付いていくのではないでしょうか。

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
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