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PECS®を活用するために

2024/12/3

こんにちは、plus-STの渡邉です。

療育施設に勤務する言語聴覚士の方ならご存知であろうPECS®ですが、導入には高いハードルが存在すると感じています。

ハードルが高い原因や、私の身近で見かけた解決策についてお伝えします。

PECS®とは

PECS®とはPicture Exchange Communication System®の略で、日本語では「絵カード交換式コミュニケーションシステム」と呼びます。

PECS®(絵カード交換式コミュニケーションシステム) – Pyramid Educational Consultants of Japan

 

非常に噛み砕いて説明すると、欲しいものやしてほしいことなどの要求を絵カードで表出し、それを受け取った周囲がその要求を叶えるというやりとりです。

このやりとりには6つの段階があり、1つずつクリアしてフェイズが上がっていくと、複雑な要求の仕方やコメントの方法を学べます。

ことばとしての絵カード

私たち人類は、言語によって人と関わったり要求したり拒否したりといったことをしています。

しかし、それが難しい方々(特に幼児)がいるのも事実です。

PECS®はそういった方々のことばとして働きます。

ことばの代わりに絵カードを提示することで、自分の意思を明確に伝えられるー。

これが当人たちにどれほどの安心感を与え、同時に周囲の疲弊を軽減できるかは明白です。

そのため、フェイズが上がっていくと限られた相手とだけではなく、誰とでもコミュニケーションを図れるように練習します。

最終的には、いつでもどこでもだれとでも意思疎通を図る手段を得られるのです。

 

そんなPECS®ですが、導入にはなかなかのハードルが立ちはだかります。

ワークショップ受講と絵カードの用意

PECS®はさまざまなルールが明確に決められたコミュニケーション手段です。

そのため、始めるにはワークショップの受講が望ましいとされています。

ワークショップ・ミニセミナー 一覧 – Pyramid Educational Consultants of Japan

ワークショップには種類があり、PECS®を導入するために受講が望ましいレベル1ワークショップは、3万円前後の受講料が必要です。

受講時間は13時間にも上り、数日に分けて開催されます。

親御さんからすればいくらわが子のためとはいえ、これだけのお金と時間を捻出するのは簡単なことではありません

 

さらに、ワークショップを受講すればその日からすぐに始められるというものでもありません。

PECS®は絵カード交換式コミュニケーションなので、絵カードが必要です。

事業所であれば必要な絵カードをさっと印刷してぱっとラミネートすることが可能でしょう。

ですが、一般家庭ではそうもいきませんよね。

 

くわえて、PECS®の最初の段階では、子どもさんの相手となる『コミュニケーションパートナー』と、子どもさんの黒子として動きのサポートをする『身体プロンプター』の2人が必要です。

すなわち、親御さん1人ではPECS®を使ったコミュニケーションの練習ができないのです。

 

これだけの壁が立ちはだかれば、目をそむけたくなるのも無理はありません。

サークル活動

ちなみに、ワークショップを受講しても、結局理解しきれずに悩ましい日々を送る親御さんはたくさんいらっしゃるとか…。

そんなみなさんが、お互いに助け合ったり労いあったりする場として、全国にPECS®のサークルがあります。

PECS_Circle_GP Contacts2023.pdf Pyramid Educational Consultants of Japan PECS®サークル一覧(2023)

なかには、絵カード作成会を行ったり、講師の方をお招きしてワークショップの振り返りを行ったりするところもあります。

実際に、こういったサークルに参加して悩みが解決した親御さんのエピソードを共有しましょう。

 

先述した“絵カード作れない”問題についてです。
特に、出先で今すぐにこの絵カードが欲しい!となったときに使えるのが、チェキ!

インスタントカメラ【instax™<チェキ>】公式サイト

撮影した写真がそのまま絵カード本体となり、下部の空白に文字を入れれば、即席絵カードの完成です。

PECS®の絵カードはフェイズが進むにつれて膨大になるので、すべてをチェキで作るのは経済的ではありません。

また、ゆくゆくはiPadを使ってデータとしての絵カード提示を行うようになることもあり、絵カードの質にこだわりすぎる必要はないとのことです。

 

こういった小ワザを全国の先輩パパママたちはたくさん持っていらっしゃるので、つまずいて孤独を感じている親御さんがいらしたら参加を促してみてください。

さいごに

PECS®のハードルと、解決策の一例を中心にお伝えしました。

音声言語を操れる私たちからすると一見手間が多いように見えるPECS®です。

しかし、要求が伝えられず泣きわめくしかできなかったお子さんが、平然とお菓子を要求できるようになる瞬間を目の当たりにすると、素晴らしいコミュニケーションツールなのだとわかります。

導入するときが1番大変なので、そこを言語の専門家としてフォローしながらともに乗り越えていけるとよいですね。

 

執筆者 渡邉睦美(言語聴覚士)

 

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!

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