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教科書閲覧のススメ

2024/11/29

みなさんこんにちは、plus-STの渡邉です。

先日、勤務先である放課後等デイサービスをご利用中の保護者の方にお誘いいただき、教科書閲覧に同行いたしました。

特に就学期のお子さんを支援している言語聴覚士の方におすすめしたい!と思ったので、シェアします。

☆本ってご存知ですか?

私が小さい頃は置き勉は厳禁で、毎日必ず重たい教科書を持ち帰っていました。

しかし、現在は持ち帰ることの方が少ないですよね。

そのため、放デイを利用している子どもたちがどんな教科書を使っているのか、ほとんど把握していませんでした。

特に、特別支援学校に通う子どもたちはまったくと言っていいほど教科書を持ち帰りません。

学校で何をしているのか気になり、学校開放日に見学させていただいたこともありますが、それでもベールに包まれていました。



そんな疑問が、一発で解決できる場所があります。

それが、今回同行させていただいた場所です。

私の在住県の場合は特別支援教育センターという名前でしたが、各都道府県に同様の施設があるようです。

全国特別支援教育センター協議会大会加入機関


普通学校で使われる教科書はもちろん、「☆本」と呼ばれる知的障害のある児童生徒のための教科書もあります。

恥を忍んで白状すると、私は「ほしぼん」は聞いたことがありましたが、「☆本」であるとはこのとき初めて知りました。

なお、同行した他事業所の児童指導員の方や相談員の方もご存知ありませんでした。

文部科学省 知的障害のある児童生徒のための教科用図書について


学年ではなく☆の数により段階が分かれており、個人に合わせた☆の数の教科書を選択できます。

☆本が合わないこともある

初めて目にする☆本に夢中になり、へぇ~!ほぉ~!と興奮していた私でしたが、保護者の方は浮かない顔…。

というのも、特別支援学校では☆本を使用しているところが多いものの、たとえば『こくご☆』は文字がほとんどありません。

文字を学べると思っていた親御さんが拍子抜けする…という事態が起こるとおっしゃっていました。

なるほど、そういう実情もあるのか…ではどうしたら…と悩む私に、保護者の方は続けます。

「だから、わが子に合った教科書を一緒に選んでほしくて!」と。

初めて目にする☆本に夢中になり、へぇ~!ほぉ~!と興奮していた私でしたが、保護者の方は浮かない顔…。

というのも、特別支援学校では☆本を使用しているところが多いものの、たとえば『こくご☆』は文字がほとんどありません。

文字を学べると思っていた親御さんが拍子抜けする…という事態が起こるとおっしゃっていました。

なるほど、そういう実情もあるのか…ではどうしたら…と悩む私に、保護者の方は続けます。

「だから、わが子に合った教科書を一緒に選んでほしくて!」と。

たとえば、知らないママはいないであろうこちらの絵本。

Gakken 絵本いっしょにあそぼ『しましまぐるぐる』公式サイト

こちらも教科書として使える本として並んでいましたが、興味深かったのは書写の棚に分類されていたことでした。

てっきり国語かと思いきや、しましまやぐるぐるをなぞる動きが運筆に繋がる…ということでしょうか。

なるほど~!と頷きが止まりません。

絵本ばっかりでいいの?

では、子どもたちの目を引く色遣いで、人気のキャラクターが描かれた絵本ばかりを使っていればいいのかというと、そうでもありません。

親御さんからすれば「うちの子はいつまで絵本が教科書なの…」と悩ましいとか。

そうか、そこまで考えが及ばなかったと反省しながら、再度☆本に目を戻します。

☆本は文字が少なかったり大きなイラストが目立ったりしますが、見た目は完全に教科書のそれです。

このいかにも教科書!といった見た目が、親御さんの心の安寧に繋がり、子どもたちの自尊心を育てる一助になるとのことでした。

たしかに自分を振り返っても、かっこいい教科書が嬉しかった記憶がかすかにあります。

少しお姉さんになったような気がして、年度の始めは大事にしたものです。

ずらりと並ぶ“教科書”の中から、特別な配慮が必要なお子さんに合わせた1冊を選ぶ大切さを学びました。

言語聴覚士として立ち会う意義

自身の担当するお子さんがどういった教科書を使っているのかを知るにもいいですし、教科書が合わないとお悩みの場合は他の選択肢を提示することもできます。

また、学校用の教科書としてだけではなく、自身のプログラムに組み込むことも可能です。

私が個人的に難しいと感じているのは、ソーシャルスキルや性教育についてです。

家庭・学校とともに足並みを揃える必要性が高い分野でもあると思います。

それらについても、道徳や保健体育の教科書として認められ、かつ子どもにもわかりやすい表現で描かれている一般図書を使うことは、有用ではないでしょうか。

非常に学びの多い時間でした。

さいごに

新年度の教科書を注文するには、前年の12月末日までなど締め切りがあります。

今まさに教科書選定でお悩みの方がいらしたら、お住まいの都道府県の施設に問い合わせて、ぜひ教科書を閲覧してみてください。

きっとヒントが見つかるはずです。

どなたかの道標になりますように。

このコラムでは、臨床や経験に基づくこと、豆知識、問題提起など様々なトピックを扱います。
執筆者は企画の和久井のほか、色々な職場・働き方・ジャンルで活躍されている言語聴覚士に依頼していく予定ですので、リクエストもお待ちしています。
コミュニティもしくは 「お問い合わせ」フォームまで、皆様のご意見・ご感想をお待ちしています!

執筆者 渡邉睦美(言語聴覚士)

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