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偏食に悩むお子さんとその保護者への支援

2026/06/2

こんにちは、plus-STの渡邉です。

 

「偏食が強くて困っています」

小児領域では、保護者からこうした相談を受ける機会が少なくありません。

しかし実際には、“食べない”という行動の背景に、感覚特性が関与しているケースが多く存在します。

特に、発達に特性のあるお子さんでは、味覚・嗅覚・触覚などの感覚処理の偏りが、食行動に大きく影響することも。

 

偏食を「わがまま」「慣れの問題」と捉えてしまうと支援が難しくなるだけでなく、保護者の負担感も強くなりやすいものです。

今回は、偏食と感覚特性の関係について、臨床で意識したい視点を整理してみたいと思います。

「食べられない」は感覚防御かも

偏食の背景としてまず考えたいのが、“感覚防御”です。

例えば、

 ・特定の食感を極端に嫌がる

 ・においだけで拒否する

 ・見た目が混ざっていると食べられない

 ・温度に強いこだわりがある

といった反応は、単なる嗜好ではなく、感覚入力の過敏さから生じている場合があります。

 

特に触覚過敏のあるお子さんは、「べたべた」「ねばねば」「ふにゃふにゃ」とした食感への拒否がみられやすく、逆に硬い・乾いた・パリパリした食品を好むことが多いです。

また、嗅覚過敏が強い子どもは、周囲が気にならない程度のにおいでも強い不快感を覚えることがあります。

給食室やキッチンのにおいだけで嘔気が誘発されるケースもあり、「食べたくない」というより、“食べること自体が苦痛”になっていることも少なくありません。

 

こうしたお子さんに対して、「一口だけ頑張ろう」と促すことが、かえって食への拒否感を強めてしまう場合があることは、想像に難くありませんよね。

「食べられる条件」を探す

感覚特性を踏まえるとき、重要なのは“何が食べられないか”だけでなく、“どんな条件なら食べられるか”を見ることです。

例えば、

 ・同じ食材でも形状が違えば食べられる

 ・温度を変えると受け入れられる

 ・決まった食器なら食べられる

 ・一度触って確認すると安心する

など、細かな条件設定で摂取可能になることがあります。

ここには、そのお子さんなりの「安心して食べるためのルール」が存在していると言えます。

 

臨床ではつい「食べられるものを増やす」ことに意識が向きやすくなりがちです。

しかし、無理にレパートリー拡大を目指すよりも、まずは“安心して食べられる経験”を積み重ねることが重要ではないでしょうか。

特に幼児期は、「食べること=嫌なこと」という学習を避ける視点が欠かせません。

保護者に寄り添う

偏食支援で忘れてはならないのが、保護者への関わりです。

保護者は日々、「工夫が足りないのでは」「甘やかしていると思われるのでは」という葛藤を抱えていることがあります。

実際、周囲から「お腹が空けば食べる」「好き嫌いさせないほうがいい」「いずれ食べるようになる!」と言われ、傷ついている保護者も少なくありません。

 

そのため、言語聴覚士が感覚特性の視点を共有すること自体が、保護者支援になる場合があります。

「感覚的に食べにくさがあるのかもしれません」という一言で、保護者の見え方が変わることも。

 

もちろん、感覚特性だけで偏食のすべてを説明できるわけではありません。

口腔機能、姿勢、経験不足、不安の強さなど、多面的な評価が必要です。

それでも、“本人と保護者の努力不足ではない”という理解は、支援の土台として非常に大切だと感じます。

「食べる」より先に「安心」

偏食支援では、つい「食べられたか」に注目しがちです。

しかし実際には、

 ・食卓に座れた

 ・においを嗅げた

 ・触れた

 ・口元まで近づけられた

といった過程にも、大きな意味があります。

 

感覚特性のあるお子さんにとって、食べることは非常に高いハードルを伴うというケースも少なくありません。

だからこそ、「どうすれば食べられるか」の前に、「どうすれば安心できるか」という視点を持つことが、支援の第一歩になるのではないでしょうか。

 

執筆者:渡邉睦美(言語聴覚士)

 

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